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フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2018 Kayoko Kimura
by k_nikoniko


カテゴリ:フランス( 87 )

ノートルダム大聖堂再建に向けた大企業の寄付が議論に

ノートルダム大聖堂再建に向けた寄付が、火災から3日で10億ユーロ近くに達しました。
一方で、こうした文化活動の寄付は、60%の減税が適用されるので、フランスでは議論になっているそうです。
ルモンド紙の抄訳が届いたので、アップします。

LVMHを統べるアルノー家、ロレアル、ベタンクール家はそれぞれ2億ユーロの寄付。Keringの株主であるピノー家はArtemis投資機構を通じて1億ユーロの寄付。JC Decauxグループは2000万ユーロ、ブイーグは1000万ユーロ、それ以外にディズニーやアクサも寄付を表明。トタル・グループは1億ユーロ、それ以外のグループも寄付。個人名義でも合計1300万ユーロの寄付が集まった。

寄付へのインセンティブのため、2003年に法律が定められ、収益の0.5%を上限として、寄付額の60%が減税される。個人の場合は収入の20%を上限として66%が減税される。1000ユーロ以下の寄付については75%が減税されると首相が発表したばかりだ。

宣伝のために寄付をするのではないと示すため、ピノー家は減税措置を受けないと発表した。「フランスの納税者に迷惑をかけるわけにはいかない」と。これに続き、JCDecauxやフランスの長者番付一番のベルナール・アルノーも減税措置が該当しないと説明する。「寄付の一部は家族経営の会社名義でなされ、ここには収益がない。だから減税法は適用されない。LVMHの寄付に関してもルイヴィトン財団が減税対象になっており、すでに上限に達しているので、この寄付には減税されない」と言う。

8億ユーロで創設されたルイヴィトン財団は4億8000万ユーロというフランスでもっとも巨額な減税をすでに受けていると、2018年に会計検査院報告が明らかにしている。「他の国なら寄付をすると褒められるのに、フランスでは公共利益のために寄付をしても非難されるとは嫌になる」とアルノーは述懐する。

しかし、これらの寄付に対して多くの非難の声が上がっている。気前良さの裏には何かあるという疑いだ。このような気前良さはかえって欲求不満を生み、イライラを募らせる。「金は一部にしか行かない」とフランス労働総同盟の事務局長が言う。「社会の貧困」には何もしないくせに、ノートルダム寺院には金を出すと、「黄色いベスト」のIngrid Levavasseurも文句を言う。「毎月、生活費のやりくりに苦労している家族にこそ金を出すべきだ。彼らは寺院の人間バージョンだ」と社会党首Olivier Faureも述べる。「最貧の人々にも手をさしのべて欲しい。彼らも国の宝なんだ」とFlorent Gueguenが言う。「1パーセントで良いから、最も貧しい人達に金を出してくれれば助かる」とアベ・ピエール財団も同調する。

慈善家に対して社会は冷ややかだ。減税を認める法律を利用して、旧い建物には金を出しても、貧乏人には出さないと批判する。闘う相手を間違えているのか。ノートルダム寺院の再建には10億ユーロが要る。寄付がなければ、すべて国の財源から捻出しなければならない。寄付があれば、国家は最大でも60%を支払うだけだ。フランス重要文化財の復活を願って自発的に発生した慈善運動を攻撃するのは場違いだろうか。企業の49%は寄付の減税を求めない、あるいは部分的にしか減税措置を受けていない。上限まで減税するケースは14%にすぎない。

それに寄付の内訳は社会援助(28%)、文化援助(25%)、教育援助(23%)、健康援助(11%)だ。2017年度には20億ユーロの寄付が集まったが、芸術財団だけでなく、食糧援助団体、科学研究、それに雇用援助団体などにも貢献している。減税上限を下げるべきだと2018年秋に議員が主張したようにするべきか。逆効果ではないのか。

by k_nikoniko | 2019-04-20 09:42 | フランス

ノートルダム大聖堂への寄付と節税対策

ノートルダム大聖堂の再建に向けて、巨額の寄付が集まっていますが、フランスでは企業のメセナ活動の寄付は60%の税金が控除され、税金と深い関係があるため、議論になっています。

ルモンド紙の抄訳です。

火事が完全に消えない4月16日(火)に、すでに富裕層から寄付の申し出があった。
大聖堂再建への寄付は、フランスの巨万の富とフランスを代表する40銘柄(CAC40)の重い負担から発し、結局、メセナ活動の非課税という、60パーセントの税金控除が適応される。
つまり、「これでは結局、<再建の費用の>ほとんどを国が負担するのと変わらない」とヴァル=ド=マルヌ県選出の共和党議員で、国民議会の予算委員会の文化遺産特別報告者であるGilles Carrezは嘆く。<火曜日に発表された寄付の>約7億ユーロのうち、およそ4億200万ユーロが、2020年度の国家予算から捻出される」。

ノートルダム大聖堂を荒廃させた火災の翌日、世界一の高級ブランドLVMHグループ、そして、同グループの大株主のアルノー家は、「フランスの歴史の一部をなすこの建築作品の再建に貢献する」2億ユーロの「寄付」を発表した。その少し前には、実業界のピノー家が、投資会社アルテミスを通して1億ユーロ出すと発表した。ただし、4月17日(水)、ピノー家はノートルダムへの寄付に関わる税の優遇を放棄することを保証した。

それに引き続き、トタル(1億ユーロ)から、ロレアルの株主であるベタンクール=メイヤー家(2億ユーロ)、ジェーシードゥコー・ホールデイングスのドゥコー(2000万ユーロ)、マルタン&オリビエ・ブイグ(1000万ユーロ)にいたるまで、発表が相次いだ。

火曜日の際立った競り上げに、2017年にブノワ・アモンの選挙運動に参加した経済学者Julia Cageはツイートで、「億万長者からは、税金(富裕税…)を徴収するべきであり、彼らの気分次第で寄付するやり方は、膨大な額の節税になる」とつぶやいた。

60%の減税

メセナ活動は、法人税の60パーセントが減税となり、年商の0.5パーセントを上限とし、しかも税金を5年の平均で納めることができる(個人名義の場合は、課税所得の20%を限度に、66パーセント)。
Carrezは次ように強調する。
「この方法しかないから、これでも満足すべきだ。こうした寄付がなければ、再建の合計額は100%国家予算から捻出しなければならない。しかし、この資金は、<寄付者が支払うべき>税金から控除されるため、予算的な問題を引き起こす」

実際、これら個人の寄付は、大建造物の再建のために公債から先取りされることにはならない金額と同額である。

関係する分野(博物館、展示、文化遺産)に関する戦略、企業のメセナ活動への非課税は、年9億円以上の国の損失となっており、15年で10倍に増加した。秋に発表された報告書で、会計検査院は「もっとうまくこなす」よう要請している。2015年には、財務監察局が、フランスは減税を与えている唯一の国で、課税対象基礎の控除はない、と強調した。大蔵省はすでに、予算の自由裁量幅を探っており、この秋、Carrez議員はその減少を申し立てた。「より効果的に成果を上げるよう、2020年度予算の枠内で提案するという政府に合意した」と議員は述べる。

感情は道理に即していない

議論はノートルダムの火災に有利に再燃した。「より正当な税制を求めるなら、メセナは最適なものとはいえない。感情は理解できるが、感情は道理に即していない」と予算報告者(共和国前進)の Joël Giraudは指摘する。
元文化大臣であり、現在はピノー・コレクションの総裁を務めるJean-Jacques Aillagonは、さらにより有利な税に手を加えるよう要請する。彼はツイッターで、「ノートルダム寺院を国宝に指定すれば、再建のための寄付に対して90パーセントの減税が可能になる」と主張した。だが、4月17日(水)に、元文化大臣がその考えを放棄し、「財政の問題は解決したようだ」とフランスのラジオで断言した。

国宝に指定されるのは、国外への流出を拒否する目的、もしくは、国家遺産として重要な利益を現在も有している、不動産ではない、文化財産だけだ。「重要性が特殊で顕著なある種の不動産にもそれが適用できるはずだ」と、再建には「数億、さらに10億ユーロ近い費用がかかる」とみなすAillagon氏は説明する。従って、「国の割り当て予算額は、他の建設に反して、強制的に実施する」と彼はつづけた。

「我々が利用できる特別措置が何かを政府と検討しているが、当然、国は再建に対し、我々すべての国民を対象にし」、そして、国は「責任を引き受ける」と現文化大臣Franck Riesterがラジオでこの日の早い時間に次のように保証した。「ノートルダム寺院を救うためなら、減税対策などフランス人に必要ないはずだ。どんな大金持ちであっても!」と大蔵省の情報源は言い返す。

その問題は特に、Franck Riesterと公会計大臣Gérald Darmaninとの首相官邸の各省間会合のときに言及された。適切な仕組みが、まさにこの状況のために作りだされ可能性がある。「大臣たちは、寄付に適応される税制を阻止するための提案に躍起になっている。決断するのは、大統領だ」とGérald Darmaninの官房は指摘する。

by k_nikoniko | 2019-04-18 19:47 | フランス

反発というデモの本質を復活させた「黄色いベスト」

仏ルモンド紙の記事の抄訳が届いたのでアップします。

フランスの過去から現在の抗議デモに関する、歴史家Thomas Branthômeの分析です。


いくらかの譲歩と共に、庶民の声を吸い上げるための国民会議を設けたマクロンだったが、ここに来て秩序維持のための抑圧政策を押しすすめた。この選択の理由は、「黄色いベスト」の問題を超えて、ある本質的なことが賭けられていると大統領が認識したからだ。彼の政権維持である。今回、マクロンの党「共和国前進」が採用した答えはすべて、二世紀前からずっと続く「制度的権力」と「民衆の力」の対立に対応するためである。政治の根源をなす、この対立はフランスの権力の源泉を問い糾す。

19世紀末までフランス法制度に社会的自由が欠如していたのは君主制が禁止していたからだと長らく信じられてきた。そして、それを共和制が修正してきたのだと。しかし、この見方は誤りである。どんな政治体制も秩序維持という絶対命令を守ってきた。革命政権は民衆の暴力を吸収し、それを味方につけたおかげで最初の成功を収めた。だが、すぐに穏健派がこの打算的結合を糾弾する。なぜなら、このような同盟は結局、民衆の力への従属を意味するからだ。第一共和制(1792-1804)、七月王制(1830-1848)、第二共和制(1848-1852)はどれも騒乱が生んだ政体である。

このアポリアからの脱出方法を見つけたのがナポレオン三世である。1860年以降、デモやストライキが盛り上がり、新たな蜂起が危惧される。彼は和平の道を捨て、抑圧だけが秩序維持のための答えだと考えた。1864年5月25日発令の法は労働者の「団結」を認め、組合との話し合いだけを許した。目的はストライキの圧殺だ。この論理を第三共和国は継承し、秩序維持のドクトリンとする。

1871年のパリコンミューンの騒乱から生まれた第三共和制は、隙に乗じようと待ち伏せする王制復古派から国家を防衛しなければならなかった。そのため共和制は「暴力を飼い慣ら」し、革命的怒りを民主的表現に変換する必要があった。このころちょうど「manifestation(意見表明)」という表現が辞書に現れ、「意見あるいは要求の平和的表明」と定義された。こうして暴力的運動ではなく、平和的意見表明としてフランス人の精神に刻み込まれた。

デモ行為の新しい意味は、1907年のクレマンソー首相による政策に表れている。国会で彼は宣言する。デモは権利ではなく、行政が与える寛容にすぎない。「規律」を遵守し、「誠実な組織」の下でなされる限り、デモは許される。この理念が今日まで続く。事前許可がなければデモは許されないし、「デモの目的と日時」「通過する道の計画」「組織者の氏名と住所」を明示しなければならない。民衆の集結を非騒乱化するプロセスはこうして完成した。数十年来、デモは予定調和の「散歩」、そして「日常的」儀式に変身させられた。2008年にサルコジ大統領が言い放ったように、「これからフランスでデモがあっても誰も気にしなくなった」。

だが、「黄色いベスト」の18回にわたる異議申し立てが、この認識を打ち壊した。「型」から抜けだしたデモ(manifestation)は、その語源の意味(manoは手、fendreは引き裂く)と本来の蜂起の性格を取り戻した。氾濫した川は元の河床に戻るだろうか。


by k_nikoniko | 2019-04-10 22:34 | フランス

フランスでデモを抑制する破壊活動防止法の制定か?

フランスで制定されそうな破壊活動防止法について、マクロンに近い弁護士のインタビューの抄訳が届いたので、アップしました。
2019年2月4日、ルモンド紙電子版に掲載されています。

この法案の目的は、破壊活動を行った者の処罰ではない。デモをする権利を行政が制限するために制定されるのである。自由を大切に思う人間は、この法を認めることが出来ない。

破壊活動をすると思われる人間のデモ参加をこの法は事前に禁じる。誰が禁止を決めるのか。一般的にデモは政府を批判するために行われる。その政府がデモ禁止を決めるのである。

根源的自由が失われた。この法が拡大解釈されない保証はない。まちがいなく、将来拡張されるだろう。防波堤はすでに壊されたのだ。これからはすべてが可能になる。

恐ろしいのは、警察は自主的に考えるのではないという事実に誰も気づかない点だ。政府が言う通りに警察は考えるのである。今日は「黄色いベスト」が悪いと考える。だが将来、極右政権が成立すれば、マクロン派、ジュペ派、社会党が悪いと考えるだろう。その時、しまったと思っても、もう遅い。

デモの制限は、自由な社会そのものに対する挑戦だ。反テロ法が制定されたとき、市民の自由を制限する自由を政府に与えれば、どんな政府でも無制限に自由を踏みにじるだろうと我々は警告した。いつか市民全員の根源的自由を攻撃するだろうと言った。今、その時が来た。

通常の刑法で完全に処罰できるのに、破壊者抑圧の口実の下に「黄色いベスト」を狙っている。暴力ではなく、デモを制限しようとしているのだ。犯罪者ではなく、市民を恫喝しているのだ。

混乱が起きうる可能性があるというだけでデモの権利を判断してはならない。それでは団結権も報道の自由も制限できてしまう。犯罪は処罰されなければならない。だが、自由の行使を禁ずるなら、民主主義は失われる。デモを犯罪だと判断するのは誰か。政府の横暴を制限する目的でデモの自由が行使される。その自由を政府は抑圧しようと言うのだ。

政府は警察の人質になったような感がある。警察の側に100パーセント立つと内務大臣クリストフ・カスタネールがいみじくも発言したが、そこに真理が表れている。大臣は警察を指揮し、必要ならば、その行動を制限するのが仕事であり、警察に追従するのではないと私たちは素朴に信じていた。だが、現実はまったく違っていた。政府は警察に従っている。国会も政府も警察の召使いになった。

暴力行為が生じても、大多数のフランス市民はデモを支持すると世論調査が示している。それは、パニックの最中で制定される法律によって共和制が脅かされていると大多数のフランス人が感じているからではないか。

民衆をデモに駆り立てている正体不明の何かがある。暴力行為にも関わらず、その何かを尊重しなければならないと大多数のフランス人が感じているのだと私は思う。なぜなら、それは民主主義に関わる何かだからだ。この何かを政府は消そうとしている。自分たちに都合が良いからだ。だが、政府のために民主主義があるのではない。

自分たちに都合の良いデモ、警察が認めるデモだけを許したいと権力は望む。おそらくいつか、危険のない意見、法案が言うところの「正しい行動」と認められたデモだけに与えられる許可を申請しなくてはデモできない日が来るだろう。だが、それは紛れなく、民衆蜂起が起きる時である。

デモの権利を擁護するためにこそ、この法律を制定するのだという内務大臣は、この危険に気づいていると思う。政府が死刑を復活する時が来れば、「被害者の権利擁護のために生命を守る」目的で死刑を復活すると大臣が言うのはまちがいない。








by k_nikoniko | 2019-02-05 11:12 | フランス

「黄色いベスト」高齢者介護施設の組合が賃上げを求め政府に警告

フランスの高齢者介護士の組合は要求の回答がなければストを打つ、と政府に警告しました。
邦訳が届いたので、アップします。

「一触即発の状態」に対して緊急措置を取るよう、介護士組合が合同で政府に警告した。

高齢者介護士合同組合連合(CFDT, CFE-CGC, CFTC, CGT, FA, FO, FSU, Solidaires, UFAS, UNS)および高齢者介護責任者管理協会は、「国家から無視された」と12月20日の記者会見で訴えた。全国7300の老人ホームで働く介護士を束ねる組合代表が大統領に接見要請をしたが拒否されたという。

「2017年10月からマクロン氏に3通の手紙を出した。11月28日、大統領府の名前で回答が来たが、『状況に注意している。協議中だ』とだけ書いてあった」。昨年5月末になされた未曾有のデモの後、2019年から2020年にかけて3億6千万ユーロの追加予算を与えるという発表があった。およそ10の組合組織は、この措置を不十分だとし、数千人の雇用を創出するとともに、即時賃上げの「緊急措置」を要求した。

「1月初めから集会を重ね、関係者の要求を整理し、その結果を1月31日に大統領府に通告する」と組合代表は述べる。具体的な回答がなければ、ストライキを打つと脅す。フランス全国の老人ホーム関係者(介護士と所長)の3分の1が行った昨年12月30日のストから数えてちょうど1年の節目に当たる日を、大統領の回答期限日に設定した。

昨年のストライキから約1年経ったが、状況は変わっていない。彼らの怒りも衰えない。「我々は倫理的問題に苦しんでいる。このような悪い条件で働かされる中、老人への暴力をどうしたら避けられると言うのか」と問いかける。結果、病欠する介護士数の急激な上昇、半分以上で代替が利かない状況、見捨てられたという抜き差し難い感情が職場を支配する。40パーセントの老人ホームは医師不在の状態に置かれていると言う。


by k_nikoniko | 2018-12-21 09:17 | フランス

「黄色いベスト」警官の怒りを鎮めるために未払の残業代支給を検討

フランスの警官の抗議への政府の対応について、抄訳が届いたのでアップします。

過労により「疲弊した」警察官の怒りを受けて、2億7千4百万ユーロの残業代支払いスケジュールを政府は練り上げ始めた。「毎年、およそ300万時間の残業が行われている。残業すべての支払いをするための費用は2億7千4百万ユーロに上る。これから決めるスケジュールに則って、残業代支払いがなされることを私は確約する」と内務大臣付き副大臣が述べた。

「これらの残業代はここ数ヶ月や一年間で累積されたのではなく、数十年間の積み重ねだ」と内務大臣が火曜に述べたばかりだ。

三つの警察組合、Alience, Unité-SGP-FO、UNSA-Policeと開始された話し合いは火曜夕方、いったん打ち切られ、水曜に再開される。結果を待ちながら、「警察署を閉めよ。すべての警察官に告ぐ。緊急事態以外には警察署を出るな」というAlienceの呼びかけにUnité-SGP-FOも合流した。

それ以外に「黄色いベスト」のデモ中に動員された警官に300ユーロの手当を与える方向で政府は、2019年国家予算を審議中の国会に補正予算案を提出し、火曜から水曜への夜間に可決された。この手当の費用は合計3千3百万ユーロに上る。11万1千人の警官が受給するこの手当の措置は叩き台であり、最終的に受給する警官と憲兵の数については議論中である、と内務大臣付き副大臣が述べた。







by k_nikoniko | 2018-12-19 21:12 | フランス

「黄色いベスト」に続きフランスの警察官が労働条件の不満でデモ

フランスからルモンド紙の記事の翻訳が届いたので、投稿します。

フランスの警察官が、労働環境と給与に抗議して、デモを行うという報道です。

「黄色いベスト」の抗議デモが沈静化に向かう一方、新たなタイプのデモが政府を襲う。労働条件と給与に不満を持つ警察官の反抗である。

警察の三大組合はそれぞれ独立に、示威行為を近日中に行うと発表した。Unité SGP-Police-FOは「黄色いベスト」による週末デモに呼応する形で12月15日(土)の宣言ですでに、一月に行うデモの準備を始めている。Alience Police nationaleは19日(水曜)に警察署を閉じ、緊急の場合以外は応じないよう警察官同僚に要請した。UNSA-Policeは12月8日以降、軽犯罪は取り締まらず、「最小限の任務」しか果たさないと発表した。

警察官のほとんどが組合に組織されている状況で、これら抗議声明は重い意味を持っている。12月始めに行われた組合選挙において、これら三つの組合は合計で全得票数の80パーセントを得ただけでなく、投票率も80パーセントを超えていたからだ。

内務省は要求内容にも困惑を示す。要求が盛りだくさんなだけでなく、予算が苦しく、要求すべてを満たせないからである。支払いの遅れている2300万時間の残業代を警察官は要求する。法で定められた休日も休めず、毎日働かせられている警察官にとって、この多大な負債は労働条件のシンボルになった。年末を迎え、ただでさえ疲労した警官は「黄色いベスト」危機のせいで、さらに酷使された。その上、ストラスブールのテロによる残業が重なった。残業代の全額支払いがすぐには無理でも、支払い開始はすぐに始めよと組合は要求する。

怒りは給料にも集中する。「黄色いベスト」デモの警備に動員された警察官には特別手当てを出すというマクロンの措置が不十分だと言う。15万人いる警察官のうち、この手当てを受けるのは8万人にすぎない。「こんなことで怒りは収まらない。手当てで警察官は誤魔化されない」とUnité SGP-Police-FO代表は述べ、警察官全員に1月1日付けで115ユーロの給与ベースアップを要求する。

最低賃金の労働者に対するマクロンの約束と呼応した要求も出された。「黄色いベストの怒りを和らげるために出した政府の提案を知り、現場の警官は不満を募らせる。何故なら警官には何も与えられないからだ」とAlience Police nationale代表が言う。「国家を守る最後の砦として警察官は頑張った。負けなかった。具体的な報酬を警察官は期待している」。

給料だけでなく、警察官の労働条件についての包括的な検討を組合は要求する。不十分な物的および人的条件の下で警察官は任務に就く。機動隊即時強化の要求はその一例だ。「黄色いベスト」デモの期間に従事した60部隊のほとんどにおいて、任務に就けなかった機動隊員は25人から30人に上った。

12月18日に内務大臣と主要な組合との話し合いが始まる。今のところ、組合はそれぞれ別個に要求を連ねている。しかし、これから組合が結束すれば、事態は一変するだろう。デモ参加者の暴力に対抗して警察官は団結した。しかし低賃金で働く警察官は内心、ロータリーを封鎖するデモ参加者の気持ちがわかると心情を吐露する。

「ほとんどの警官は黄色いベストの知り合いがいる。彼らの反対側に毎日いるのは苦しい」と警察側も認める。今のところはデモ隊に加わった警察官は報告されていない。警察官は個人的に私服でのデモは許されているが、制服を纏ったままではデモに参加できないのである。

しかし、このタブーはすぐに破られるかも知れない。年始すぐに、彼らの要求が満足されなければ、統一デモを1月26日に行うよう、Unité SGP-Police-FOはすべての組合に呼びかけた。


by k_nikoniko | 2018-12-18 23:30 | フランス

マクロン陰の顧問サルコジ(ルモンド紙 2018年12月11日)

「テレビ演説前にマクロンは前大統領のサルコジと会談」記事の抄訳が届いたので、アップします。
7日に、マクロンの要請でサルコジがエリゼ宮を来訪し、昼食を共にした。先週土曜の「黄色いベスト」のデモ前日のことだ。そして、デモを取りやめてくれるように購買力上昇のための政策を示したマクロン演説の三日前のことである。

マクロンの決定にサルコジは確かな影響力を持ち、今回の演説の「共同執筆者」だとまでマクロン側近の一人は言う。しかし、サルコジの周囲は「そんなことはまったくない」と否定する。「サルコジは政界と距離を置いている。民主主義のために前任者の経験を分かち合っただけだ。大切なのはフランスだ」。「マクロンのミスで生じた火を消すために、前大統領が現大統領と話すのはいいことだ」。「異常なのは、2012年から17年までオランド大統領が我々の助言を聞かなかったことの方だ」と元内務大臣は述べる。彼も現内務大臣と来週会談を持つ予定である。

大統領側もサルコジとの会談事実を認める。他の政敵と異なり、今回の危機に際してサルコジはまったく口を閉ざしていた。それが会談を導いた。

しかし大統領の党、特にその左派はマクロンとサルコジの接近を危惧する。「より多く稼ぐためにより働けと言うサルコジの助言に耳を貸し、マクロンと同様、フランス人の一部から嫌われながらも支持基盤を維持した前任者のやり方から学ぶこと自体は問題でない。しかし、アイデンティティと移民問題に関してサルコジと同じラインを採用してはならない」。


by k_nikoniko | 2018-12-13 19:12 | フランス

ピケティ解説「黄色いベスト」:ルモンド紙2018年12月8日朝刊

政権を救いたければ、マクロンは即座に富裕税(ISF)を復活させなければならない。その収入は、燃料税の上昇で一番苦しんでいる者の損失補完に当てられなければならない。

「黄色いベスト」危機はフランスだけでなく、ヨーロッパに重大な問いを投げかけている。つまり税制上の公正である。事実・歴史・政治に関する一連の過ちを現政権は犯した。この過ちはすぐに修正すべきであるし、それは可能である。

富裕税は富裕層資産の外国逃避を引きおこす。それを避けるために富裕税を廃止したとマクロンは正当化してきた。しかしこれはまったく事実に合わない。1990年以来、富裕税を申告する人数、そして額は連続的に、また驚くほど上昇している。これは富裕税が課せられる層すべてに見られ、特に最も富裕な層に当てはまる事実である。

1990年から2017年の期間に10億ユーロから40億ユーロへと富裕税徴収額は膨らんだ。同期間のGDPは二倍になっただけだ。富裕税を課せられる条件が最初1990年には資産60万ユーロ以上の世帯だったのが、2012年には130万ユーロに上げられた(つまり課税される層がより高くなった)。それでもこの数字だ。

この税金の徴収に関する監査は従来からずっと不十分だった。通常の所得税の場合は税務署が収入を事前に把握し、収入申告書にすでに額が記入されている(フランスでは源泉徴収がなされず、各自毎年申告します。小坂井注)。しかし、このやり方が富裕税には一度も適用されてこなかった。必要な情報を税務署に知らせることは銀行にとって何も難しくない。2012年には300万ユーロ以上の資産に関しては詳細を申告する必要が無くなり、単に資産総額を記入するだけでよくなった。これでは監査のしようがない。

税務管理がしっかりしていれば、富裕税の徴収額は今日100億ユーロ以上に上るはずだ。固定資産税の増額が400億ユーロに上る事実から考えても、それは驚くことでない。監査不十分な現状であっても、富裕税は1990年から2017年にかけて10億ユーロから40億ユーロへと増加したのである。このまま富裕税を維持していれば、2022年には60億ユーロ近くまで増えたことだろう。富裕税が廃止され、そして代わりに不動産富裕税(IFI:不動産だけに課税される資産税)が導入されたが、それにより徴収額は2018年に10億ユーロに減った。つまり30年後退し、現在から2022年の期間で少なくとも50億ユーロの減収を意味している。

政府の犯した誤りの二つ目は歴史理解だ。時代錯誤の判断をした。米国と英国は1980年代に累進課税の原則を次第に壊した。そして1990年代および2000年代初期にはヨーロッパもその動きにならった。ドイツとスウェーデンで資産税が廃止されたように。しかし、この政策は思惑通りの成果を上げただろうか。2008年の危機、そして特にトランプ政権誕生、Brexit、ヨーロッパ各地で起きた外国人排斥を求める投票結果以降、格差拡大と庶民層が見捨てられた感覚から生まれる危険がはっきりしてきた。そして資本主義経済の新たな制御方法を模索する必要を多くの人間が理解した。このような状況において、2018年にさらに最富裕層を優遇する政策を加えたのは、賢いやり方ではない。1990年代の大統領ではなく、2020年代の大統領でいたいなら、マクロンは今すぐ政策を現実に合わせるべきである。

一番哀しいのは、環境問題に恐るべき損失を与えたことだ。燃料税が成功するためには、環境移行で生ずる損害の補填に、徴収した総額を当てなければならない。しかし政府はその正反対のことを行った。2018年の燃料税の40億ユーロ増収分、そして2019年に見込まれる同額の増収分のうち、政府は10%しか損失補填に当てず、残りは富裕税廃止による減収補填と、資本利益のフラット・タックス導入による補填に使われる。任期を満了したければ、マクロンは富裕税を即時に復活させなければならない。そして燃料税で一番苦しむ人々の救済に富裕税の徴収分を宛てなければならない。それをしないならば、金持ち優遇という時代遅れのイデオロギーを選択し、温暖化対策に背を向けたことを意味する。


by k_nikoniko | 2018-12-11 21:30 | フランス

フランスの婚活事業

意外かもしれませんが、「出会いのチャンスがない」と嘆いているフランス人は52%。
90年代末から、こうした状況が問題視されるようになり、出会いの場を作り出そうというムードが高まっています。
その頃から、「男性との出会い方」といった特集がよく雑誌に掲載されました。
「日常生活 (職場、スーパー、本屋、地下鉄など)を見直そう」とか、「スーパーが穴場。買物内容で独身かどうかチェック」とか、かなり実用的な方法が紹介されました。フランスでは、エリアごとに出没する男性が違うので、「場所別、男性タイプ別誘惑法」といったものまで幅広く出会いの手段を提案していました。

フランスでは、街中や、サークル活動などの余暇(スポーツや映画、フェスティバル、美術館など)で声をかけるといった突発的な出会い(ようするにナンパ)が大きな割合を占めています。
出会いの場は階級により異なり、エリート層は大学や友人のパーティ、一般層は職場で、それぞれ12%。それに続き、バカンスでの出会いが5%、その他として、フェスティバル、美術館、スーパーマーケット、バーなどがあります。結婚相談所での出会いは1%です。
ただ、活動の場が広がったわりには、いずれも決定的な新しい出会いポイントにはなっていないそうです。
以前はダンスパーティや近所づきあいでの出会いが多く、40%(戦前)がこのパターンでした。
しかし、1980年の調査では、「ダンスパーティや近所づきあいで交際が始まった」と答えた人はほとんどいません。

それに加え、インターネットや携帯電話の発達で面と向かって語り合う機会は減り、人々は疑い深くなっているためになれなれしく話しかけるのも危険、というわけで、「声をかけたくても、どこで?」と悩んでいる人が増えているというのです。

ここ数年、恋が芽生える優しい環境づくりが加速しています。
パーティ・ビジネスも盛況で、出会いを演出するレストランやカフェも増加中。
2004年に発行された総合誌「Le Obserbvateur」の別冊パリ・ガイドには、ナンパに最適なスポットを紹介する項目も加えてありました。
カフェ、書店、市場、映画館、スーパー、図書館、プール、CDショップなど、ジャンルもいろいろで、異性愛者向け、同性愛者向けのマーク入りです。



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by k_nikoniko | 2018-05-27 07:59 | フランス