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おしゃべりな毎日

フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2023 Kayoko Kimura   

フランスのパラサイト&ニート

レクスプレス誌(1998年1月8日号)に親と同居する若者「カンガルー・ジェネレーション」についての記事が掲載されました。

見出しには、微笑む若いカップルが父親のワイシャツのポケットにおさまっている写真。

ネーミングがなかなか洒落ていて、当時、親と同居する若者を「カンガルー・ジェネレーション」と呼んでいました。
ニートと通じるものがあり、フランスのこの現象がイギリスより先に日本に伝わっていたら、ニートの代わりにカンガルー世代になっていたかもしれません。

ただ、「カンガルー・ジェネレーション」は、もうほとんど使われてないようです。

パラサイトやニートがいなくなったわけではありません。

2001年末にフランスで公開された映画「タンギー」が大ヒットし、パラサイトの若者は「タンギー・シンドローム」になったのです。
現在、この言葉はときどき目にします。

親と同居中の28歳のタンギー(男性の名前)を描いた映画「タンギー(Tanguy)」は、フランスで大人気だったのですが、日本では未公開です。

以下、抄訳です。


世論調査(1997年11月)によると、21~24歳の半分、25~29歳の1/3が親と同居中。

60~70年代、つまり今の親たちは、かなり早い時期に親元を去った。ピル解禁とミニスカートの時代、自由を手に入れるために家を出た。そして、すぐに就職した。

「健全な社会では反抗が特権だったが、今は、家を出たら、一生お金を支払いつづけることになりかねない」と、経済学部卒の25歳のエマニュエルは言う。

68年世代を親に持つ“大きな子供たち”は、延長時間を楽しんでいるのだ。資格をいくつも取り、将来を考えずに仕事をいくつもこなし、親の家に留まる。冷酷な社会においては、こうした生活が快適なのだ。

「一度も定職についたことがない。こんな不安定な状態で、家を出るなんて考えられない」と、26歳のファビアンは言う。彼はここ6年間、どうでもいいような仕事をつづけている。

「闇の仕事や時給50フランほどの仕事しかない。この状況に甘んじるつもりはないが」とアンヌ=ローランスは語る。彼は、16歳でバカロレアに合格し、25歳で建築家になったが、8ヶ月前から失業中だ。

「お金を貯めてチャンスが訪れるのを待っている。一文無しで親元を離れる気にはならない。親が援助してくれるし、彼女とも親の家に一緒に住んでいる」と、26歳のリュックは自分を正当化する。大学で文化コミュニケーションを学んだ彼は、1年前からアルバイト店員として働いている。

「社会人口学の重大な変化だ」と国立統計経済研究所の社会学者は分析する。新しい世代の誕生。肉体的には大人で、14歳から異性とつきあい、コンピュータや携帯を持ち、とても自由なのだが、長期的な視点においては未熟で、経済活動のアウトサイダーとなっている世代だ。

「学校で成績がよければ、勉強を長く続けるよう励まされる。選択の余地がない」と後悔する25歳のエルヴェは、18歳で自立したかったのだがそうしなかった。「18歳は、責任を引き受けることができる年齢だ」と彼は断言した。

70年代に比べ、学業終了の平均年齢が5歳上昇している。

カリーヌは、経済学部を中退し、広告を専攻した。しかし、その業界で就職できず、25歳のとき、プロパーの研修を受ける決心をした。

リュックは、大学でオランダ語を学んだ後、マルチメディアを専門にしようと試みたが、結局、異文化コミュニケーションの学位を取った。

「まず修士号、という世代だ」とある社会学者は皮肉る。ほとんどの親は、子供が学校をいろいろ変えることにとまどっているが、子供たちを全面的に援助している。高学歴でなければ、辛い人生を送ることを、親たちはよく知っているからだ。

労働者階級の1/4の若者は、職業適性証書を取得してから10年後も、親と同居している。親は、すべての可能性が失われたときの、最後の救済者なのだ。

「できることなら、家を出たい。でも、正社員としての契約が結べないのに、どのように家賃を払えばいいのか?」とファビアンは問う。

経験の少ない若者は、正社員としての安定などめったに手に入らない。卒業後に正社員として就職した若者は、1991年には半分いたが、1995年の1/3と減少した。

就職できた幸せ者であっても、薄給の人が少なくない。1984年には、30歳未満の平均生活水準は、50代の人より20%低かった。現在では、その差が大きく開いている。若者の収入は、平均すると、親たちの半分でしかない。

「快適さよりも自由を優先する若者は、まず、生活レベルを落とすことになる」と社会学者は言う。

20~30歳の若者が家を出ないのは当然ともいえる。「価値の高い学位を取得しても、新入社員の月給は7000フラン。家賃を払ったら、親元にいるときより少ない予算で生活しなければならない」と、社会学の修士号を持つ21歳のブランディーヌは言う。

28歳のフランクは、パリの有名商業学校を卒業したが、すぐに給料の不均衡に気づいた。

ハイパーマーケットで25人の部下をかかえるチーフであっても、週50時間働いて、月8000フランの給料だ。社長は、「君には素晴らしい能力がある」と繰り返すだけで、昇給はしてくれない。

失業中の建築家アンヌ=ローランスは、昨年の春にハローワークへ行ったが、いまだに何も見つからない。


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by k_nikoniko | 2006-02-12 08:18 | ーフランスの若者