映画「タンギー」で知るフランスとスペインのパラサイト
2006年 02月 12日
90年代末にフランスで大ヒットした映画「タンギー」から、フランスとスペインのパラサイト現象について分析した、パリ大学の研究員サンドラ・ガヴィリア氏の寄稿が2001年12月3日のリベラシオン紙に掲載されました。
以下、抄訳です。
映画「タンギー」は、フランスにおける大人の定義の問いである。
28歳の学生タンギーは、月25000フラン稼いでいるにもかかわらず、親と同居中だ。タンギーの生活のさまざまな局面から考えさせられるのは、フランスでは「未完」「未熟」「幼稚」な若者であっても、スペインではむしろ「大人」とみなされることである。
親と同居している25~30歳のフランス人は、1996年で18%だが、スペインの同世代では62%に上る。
アパートを賃貸できるほどの収入を得ながら、親の家に住み、扶養されつづける若者を、フランスでは問題がありとみなす。これはおかしい。
経済的な理由で親と同居することは正当化されるが、その他の理由は認められないらしい。
タンギーは、親たちに子供とみなされている。
スペインでは、仕事を持つ若者が親と同居しつづけても、大人かどうかなど誰も問題にしない。こうした状況は一般的だし、親と同居していても大人になることができ、自律もできる。
親との同居は経済的である。
タンギーは生活費を払っていないので、親の目から見て、“ずうずうしい”ということになる。彼は、親の世話になっている子供のように振る舞う。
タンギーの親のように中流家庭の親であれば、スペインの子供は家にお金をいれたりしない。親にしても、家を買うために節約したほうがいいと考えている。スペインでは家を購入する伝統があり、一般的に、若者は将来の家を購入するために節約の目的で親と同居するという点を理解するべきだ。70%のスペイン人は、結婚のときに親の家を出る。
タンギーは、ひとり暮らしが嫌いだと言う。
スペインの若者は、「ひとり暮らしが好きではない」ことを口実にする。ひとり暮らしを選ぶ若者はほとんどいない。1996年には、25~30歳の若者のうち、ひとり暮らしは1%だけだ。
フランスでは、ここ数年、ひとり暮らしをする若者が増加している。1996年には、25~30歳のフランス人の18%がひとり暮らしをしている。
タンギーは、親の家を出て同棲生活をしたいとも思っていない。同棲は、フランスの若者の間で流行しているが、ヨーロッパ南部では少ない。
タンギーは両親が大好きで、いつもそう言っている。これは、親と同居する理由として十分説明できる。
スペインの多くの若者は、親と同居し続けるという事実を、単なる証拠として正当化している。
フランスでは、子供の義務は巣立つことであり、愛する両親と同居することではない。
タンギーはホテルに住んでいるかのようで、家のことはほとんどなにもしない。掃除もしないし、買い物もしない。
家族と住むフランスの若者は、母親が家の実権を握っているにもかかわらず、最低限の家事を手伝わなければならない。
25~30歳のスペイン人の母親たちは、一般的に仕事をしていないし、家や家族を快適に保つことに全力を尽くす。スペインの若者は、親と同居しても家のことをほとんどしない。そうであっても、少なくとも表面的には、日常生活で誰も文句を言わない。
映画の結末は、問題が解決しないままで終わるという点で、とても興味深い。結婚したタンギーは、子供の出産を間近に控えていて、義理の両親と同居している。彼はついに大人になったのか?
フランソワ・ド・サングリは、大人への成長過程には3つの重要要素があるという。つまり、結婚し、親から独立し、子供を持つことで、大人とみなされるというのだ。
しかし、映画「タンギー」の結末を見る限りでは、社会学的研究の限界を明らかにしたといえる。
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by k_nikoniko
| 2006-02-12 08:13
| ーフランスの若者

