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精神障がい者の強制入院に関する国連人権委の勧告

7月24日に出された国連人権規約委員会の勧告には、精神障がい者の強制入院についても含まれていました。

たまたま7月に、精神障がい者の訪問看護サービスを取材したばかり。
日本は長期入院者を減少させる施策に変更しはじめましたが、地域の受け皿はまったく整備されていないのが現状です。
取材のなかで、「日本の精神医療は先端技術であっても、退院後のフォローがなければ、また再発し、入退院を繰り返す。そして、精神の病気が原因で事件が起きれば、世間が大騒ぎする」というお話がありました。

まさに「佐世保事件」の原因のひとつは、こうした精神医療の問題にあるのだと思います。

以下、国連人権規約委員会の勧告です(原文はこちらより)。

非自発的入院

17 非常に多くの精神障害者が非常に長期間、そして自らの権利侵害に異議申し立てする有効な救済手段のない状況で非自発的入院を強いられていること、そして報告によると、入院にとって代わるサービスの欠如により入院が不要に長期化していることに、委員会は懸念を表明する。(7条および9条)

締約国は以下を行うべきである。

(a) 精神障害者に対して地域基盤とした、代替サービスを増加させる

(b) 強制入院は、自傷や他傷を防ぐ必要および目的のときに限り、最終手段としてのみ、必要最小限の期間だけ行われるよう確実にする

(c) 精神医療施設に対して、効果的に虐待を調査して処罰し、被害者またはその家族への賠償を目的とする、有効かつ独立したモニタリングと通報システムを確実にする

以下、勧告が出る前に行われた審査会での、国連人権規約委員会からの質問に対する日本政府の回答です(外務省ホームページより)。

問11 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の最近の改正にもかかわらず、政策により、多くの精神障害者が意思に反してしばしば長期間入院させられているとの報告についてコメント願いたい。精神障害者の入院以外の代替策はあるのか、また、意思に反する入院に関する司法審査へのアクセスを含め、効果的な法的セーフガードが整備されているか否かにつき、説明願いたい。

(問11の第1文へのコメント)

88.精神障害者の意志に反した入院については、入院時の手続きや入院中の審査が法律上厳格に定められている。また、意思に反した入院を行っている精神障害者の退院促進の取組や退院後に利用する障害福祉サービスの充実を図っている。

89.第一に、精神障害者の入院に当たっては、精神科病院の管理者に対し、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならないことが規定されている(第22条の3)。そして本人の同意を得て入院(任意入院という)したものから入院後に退院の申出があった場合においては、その者を退院させなければならないことが規定されている(第22条の4第2項)。

90.精神科病院に入院している者のうち、本人の同意が得られず入院した者もいるが、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自信を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認める場合の入院(措置入院と言う)や、(第29条の1、第29条の2)、医療及び保護の必要に応じた入院(医療保護入院という)である(第33条の1)。

91.措置入院もしくは医療保護入院については、
・精神保健指定医による診察(第29条第2項、第33条第1項)
・入院措置についての本人への書面告知(第29条第3項、第33条の3)
を義務付けるなど、人権への配慮の観点から手続きを厳格に定めて実施されている。

92.また、非自発的入院者については各都道府県に第三者機関として設置されている精神医療審査会において、
・入院届の審査(第33条の第7項)
・病状報告をもとにした定期的な審査(第38条の2第1項、第2項)
・本人または保護者による退院請求について審査(第38条の4)
を行い、審査の結果に応じて退院命令等の必要な措置を講ずることとされている(第38条の3第4項、第38条の5第5項)。

93.なお、2013年の通常国会にて成立した精神保健福祉法の改正法においては、医療や法律的な観点とともに、精神障害者の保健や福祉の観点も必要不可欠となっていることもふまえ、精神医療審査会の構成員として精神科医、法律家に加え、「精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者」を加えることとし、精神医療審査会の審査の充実を図ることとしている。

(精神障害者の入院以外の代替策)

94.平成18年度の障害者自立支援法の成立以降3障害一体(知的・身体・精神障害)としてサービスを提供することとし、精神障害者を含む障害者が、基本人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことが出来るよう、障害者福祉サービスの充実を図っている。平成24年3月の精神障害者の障害福祉サービス利用者数は前年同月比で23.3%増加しており、利用者は10.5万人となっている。

95.退院後の精神障害者の住まいの場としてグループホーム(共同生活援助を行う住居)、ケアホーム(共同生活介護を行う住居)の整備を進めており、グループホーム、ケアホームの利用者数は増加し続けている。

96.精神障害者は入院せずとも地域において、外来、デイケアや訪問看護により医療を受けられるが、地域での生活をさらに支援するため、アウトリーチ(訪問支援)の充実、精神科救急医療体制の充実等に取り組んできているところである。

97.さらに、2013年の通常国会で精神保健福祉法の改正法が成立し、退院を促進するため、
・精神保健福祉士等一定の資格を有する者を退院後生活環境相談員として選任し、退院に向けて退院後の生活環境の相談・指導を行わせなければならないこと
・医療保護入院している精神障害者又はその家族等から求めがあった場合等に、障害福祉サービスの相談支援事業者を紹介するよう努めなければならないこと
・入院の必要性の有無や退院に向けた取組についての検討の体制を整備すること
を病院の管理者の義務として新たに課すこととしている。

98.また、今回の改正法においては、精神障害者の医療の提供の確保に関する指針を策定することを規定しており、この指針は入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療の実現に向けたものと位置づけ、この指針に基づき施策を講じていくとととしている。


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by k_nikoniko | 2014-08-05 11:03 | 社会問題
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