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朝鮮学校に関して国連人権規約委員会が質問

7月24日の国連人権規約委員会の勧告のなかには、朝鮮学校の無償化については含まれませんでした。
今年2月、高校無償化の朝鮮学校排除は違法として、東京朝鮮高校生が国賠訴訟を起こしました。
その当事者である朝鮮学校生徒代表らが、7月の人権規約委員会にオブザーバーとして参加したのですが、残念ながら、今回は勧告が出ませんでした。

8月20日・21日には、国連・差別撤廃委員会の日本政府報告書審査会が行われ、こちらにも朝鮮学校卒業生や保護者らが参加するそうです。
勧告は9月初旬に出ます。
前回2010年3月には、国連・人種差別委員会は、朝鮮学校への高校無償化排除に関して、「教育の差別」を是正するよう勧告を出しています。

7月の人権規約委員会では、勧告こそ出ませんでしたが、審査会では質問があり、日本政府は以下のように回答しています。

問21 マイノリティの児童に十分な教育を確保するためにいかなる進展があったか明らかにしていただきたい。締約国が朝鮮人学校に所属する児童の高等学校教育に無償化プログラムの適用を考慮しているかについての情報を提供願いたい。締約国は、朝鮮人学校終了証書を直接の大学入学資格とみなしているか?

(朝鮮学校への無償化適用について)
225.朝鮮学校への高校無償化制度の適用については、朝鮮学校が制度の対象となるための基準を満たすかどうかを審査した結果、朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、「法令に基づく学校の適正な運営」という指定の基準に適合すると認めるに至らなかったため、不指定処分とした。

226.今後、朝鮮学校が都道府県知事の認可を受けて、学校教育法第1条に定める高校になるか、または北朝鮮との国交が回復すれば、現行制度で審査の対象となり得る。

227.なお、学校教育法1条に定める高校や既に指定を受けている外国人学校には、現に多くの在日朝鮮人・韓国人が学んでおり、本制度による支援を受けている。

(朝鮮人学校終了証書は大学入学資格とみなしているか)
228.大学入学資格については、従前より、国籍、人種、性別等に関わらず、全ての者にこの資格を獲得するための複数の手段が認められている。(例:日本の高等学校の卒業、高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)等)

229.日本の公教育のスタンダードを満たさない外国人学校の卒業者については、個々人が学力面で一定の要件を満たすことにより大学入学資格を取得できるとの取扱いとしており、制度改正により手段の多様化を行っている。

230.1999年には制度改正を行い、朝鮮人学校を含め外国人学校で学ぶ児童生徒等について、大学入学資格検定(2005年より「高等学校卒業程度認定試験」)の受験による大学入学資格の取得を可能にしたところである。

231.さらに、2003年には、大学による個別審査において、個人の学習歴等を適切に審査して高校卒業と同等以上の学力があると認められる者については、朝鮮人学校等の外国人学校卒業者を含め、大学入学資格を認めることとする等の制度改正を行っている。

政府は、回答225で、朝鮮学校への高校無償化制度が適用されない理由を述べています。
朝鮮学校は、「法令に基づく学校の適正な運営」という基準を満たしていないので、不指定とされました。

当初、2010年3月に高校無償化法が施行されたとき、次の(イ)(ロ)(ハ)の指定を受ければ、受給されることになっていました。
(イ)民族系外国人学校
(ロ)インターナショナルスクール
(ハ)その他
さらに(ハ)の指定に関しては別途規定を設け、ここで「適正な学校運営」を明記していました。

たとえば、東京朝鮮学校は(ハ)に基づく指定の申請を行いましたが、2010年11月23日に起きた北朝鮮による延坪島の砲撃を理由に、指定の手続きを停止。2011年8月に手続きは再開されたが、遅々として進みませんでした。

2012年12月に安倍政権の発足し、2013年2月20日には、下村大臣が文科省令第3号により施行規制を改正。
(ハ)を削除してしまったのです。
そのため、①(ハ)を削除したこと、②(ハ)の「適正な学校運営」に適合しない、との理由で、東京朝鮮中高学校を高校無償化の指定校として認めない処分を行いました。

新制度では、外国人学校の指定対象は次の2つしかありません。

(イ)大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(ドイツ学校、韓国学校等の民族系外国人学校)

(ロ)国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(インターナショナル・スクール)

北朝鮮とは国交がないため大使館が存在せず、(イ)には相当しません。
インターナショナルスクールが国際的に実績のあるのかは知りませんが、朝鮮学校は(ロ)にも該当しないでしょう。

日本政府の回答では、現行制度での審査の対象になり得るのは、
①都道府県知事の認可を受けて、学校教育法第1条に定める高校になる → 日本の高校になる、ということ
②北朝鮮との国交が回復する → これは児童・生徒どうすることもできない、政治問題(大人が解決すべきこと)

さらに、回答227では、「学校教育法1条に定める高校や既に指定を受けている外国人学校には、現に多くの在日朝鮮人・韓国人が学んでおり、本制度による支援を受けている」とあり、これは「朝鮮学校を辞めろ」と言っているようなものです。



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by k_nikoniko | 2014-08-10 19:05 | 社会問題
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