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相馬高校「今、伝えたいこと(仮)」を再び

昨日5月6日、「今、伝えたいこと(仮)」をはじめ、福島県立相馬高校放送局が制作したラジオドキュメント、テレビドキュメントの上映会に行ってきました。
当放送局は、2013年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)特別賞を受賞しています。

「今、伝えたいこと(仮)」を観るのは、2012年12月、仙台でのライブ以来。
今回は、「相馬高校から未来へ」と、NHK・Eテレ『東北発☆未来塾』でこの4月に4週にわたって紹介された、映画監督の是枝裕和さん監修によるドラマ「これから。」とテレビドキュメント「見えぬ壁」も 上映されました。

「今、伝えたいこと(仮)」と「これから。」にたずさわった簑野由季さんと藤岡由伊さん、顧問の渡部義弘教諭が絶妙なかけあいで裏話を披露してくださいました。

脚本・演出をした簑野由季さんは、なぜタイトルに「(仮)」をつけた理由について、「『今、伝えたいこと』は、これだけではなく、状況が変化するにつれて、『伝えたいこと』は移り変わり、これからもつづいていく」と説明。
この作品では、望ちゃんという高校生が自殺をしてしまうのですが、「酪農家が『原発さえなければ』と遺して命を絶った話を聞いたので。原発のせいで死を選んだということを、世の中の人は知らないし、震災のことも忘れている」との思いで、脚本を書いていったそうです。

初挑戦となったテレビドラマ「これから。」は、女子高生3人が卒業前にタイムカプセルを埋めるお話。
「震災ものはもういいかな」と思ってたそうですが、「3年経って、日常に震災がある、という現実、素朴な日常生活の今を伝えようと、この作品を作りました」
このドラマでは、「5年後にタイムカプセルを掘りだそう」と決めたのに、「福島には行けない」と友人の親に言われるシーンが出てきます。これは、簑野さんの実体験だそうで、「現地に住んでいる人はどうなの? と腹立たしい気持ちになる」と複雑な心境を吐露。

タイムカプセルを掘り出すのは30年後。女の子のひとりは、まだ復興していない街の写真を、「これが私たちの今。30年後はもっと良くなっているかも」と言って、カプセルに収めます。

福島の知り合いの娘さん(高校生)が、「『40歳になったら相馬の海に行きたいね』と友だち同士で話すんだ」と言っていたのを思い出しました。
福島の高校生とっての30年は、単なる時間の問題だけでなく、放射能という呪縛につきまとわれた、長く重い年月であり、それが彼ら/彼女たちの未来であるのです。

仙台で学生生活をはじめた藤岡さんは、「宮城県にいても、福島のニュースは入ってこない」と風化してしまうことに危機感を抱いていました。
また、今年2月に神戸の高校生と被災地を訪問したときの印象として、「石巻には高校生が運営するカフェがあった。津波の被害にあった地域は、力を合わせて復興しようとしているけど、福島は分断されて、一緒にやろうという雰囲気になっていない」と述べました。

テレビドキュメント「見えない壁」は、「語ることのできない」福島の現状を伝えています。
簑野さんはもどかしそうにこう言いました。
「津波や原発は同じでも、それに対する思いはひとりひとり違う。イヤだという人もいるし、もっと掘り下げたい人もいる。同じ震災を経験したのに、わかりあえない…」
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by k_nikoniko | 2014-05-07 13:25 | 原発・核
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