人気ブログランキング | 話題のタグを見る

おしゃべりな毎日

フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2023 Kayoko Kimura   

核軍縮に逆行する英仏の軍事協力協定

フランスとイギリスの共同核軍事訓練に関する記事。CHARLIE HEBDOの2010年11月10日号に掲載されました。

核爆弾の親愛なる合意に万歳!

11月2日、デヴィッド・キャメロン首相とニコラ・サルコジ大統領は、国防に関する2つの協力条約に調印した。ひとつは、Valduc(訳者注:ディジョンから45kmに位置する)の核実験施設への配置。もうひとつは、壊滅的な核兵器を含む、共同派遣部隊の創設に関するもの。

調印された新しい合意は、多くの議論を呼んでいる。それは当然である。国家予算が底をついている今、核核抑止力計画は思い通りにいかないからだ。ドーバー海峡の向こう岸(訳者注:イギリス)の状況は深刻だ。防衛費は、ここ4年間で8%削減された。核ミサイル・トライデントの交換ができるかも不透明だ。これが混乱を招いている。フランスでは、戦闘機が3日に1度しか訓練できない状態だ。とにかく、イギリスとフランスの海軍が海上での軍事訓練展開ゾーンを分け合い、ローテーションシステムで改革しようという考えである。イギリス潜水艦が巡回しないことを除外すれば、だ。イギリス潜水艦の1隻は、スコットランドの泥地に乗り上げた。他の艦船は一連の損傷による問題を調査するために身動きがとれなくなり、さらに他の艦船は、公式発表によると、港で錆びて使えなくなったという。

フランスの潜水艦はイギリスのものより性能がいいのだろうか? いずれにせよ、フランス海軍は、6隻の攻撃型原子力潜水艦(SSN)と4隻の弾道ミサイル原子力潜水艦を維持するために、合計で10億ユーロを、造船企業DCNSに支払っている。将来の武装計画を実現するためには、資源を共用するということをみながわかっている。1994年11月、パリとロンドンは、すでに、お互いの努力を合体すると発表したが、新世代の攻撃型原子力潜水艦計画は頓挫した。これら可潜水艦の移動計画は、うまくいかなかった。もう少し協議をしていれば、2009年2月の3日か4日に起きた、あの玉突き衝突を回避できただろう、と悔やまれる。その日、ビスケー湾(訳者注:フランス南西部の湾)の海上で、弾道ミサイル原子力潜水艦トリオンファンと同型のヴァンガードが衝突した。どちらの潜水艦にも、先頭に広島原爆の960倍の威力をもつ核爆弾を搭載していた。これによる被害は、厳重に伏せられたままである。トリオンファンのソーナーの修理代2億ユーロは、われわれ納税者の税金で支払われた。

今後、未来の「統合攻撃空海共同軍」のおかげで、イギリスはフランス製戦闘機ラファールを手に入れる。このラファールは、フランスが国際市場でほとんど流通できなかった戦闘機だ。同時に、パートナーであるイギリスは、航空機のない航空母艦を配置するという愚かな行為も必要なくなった。両国の戦闘機は、シャルルドゴール空港か、イギリスの同レベルの空港に離着陸できるだろう。

友人同士による核兵器破壊

どこまで調和が保たれるだろうか? さらなる調整が作り上げられるのだろうか? 両国の指がいつか、核兵器おもちゃに触れるのだろうか? 核兵器の祝砲を作動させる「ボタン」は、協議を進展(成長)させるための蕾であり、それを確かなものにしようと「2つの鍵」を持たせたのか? 今のところ、サルコジ大統領のフランスは、彼によって「安全保障」と認められた抑止力を歪曲しようと準備中だ。核軍縮や、ロンドンの人々をヨーロッパの反核運動の流れに導くのを、エリザベス女王の海軍核兵器で妨げているだけではないのか? デヴィッド・キャメロン首相とニコラ・サルコジ大統領が声高々に力強く主張するのは、、この新しい協力がNATO、つまり、アメリカとその他の同盟国を強化するという理由からだ。関係各国は、西側の3大核保有国を問題視し、フォークランド諸島の部分的な防衛を思いとどまるだろう。

歴史的なこの協定により、フランスの立場が核兵器に基づいたとみなされるときなのか? とにかく、もはや以前のようにはいかないということだ。今は、核兵器を促進させることは、すべてを転覆させ、すべてに反するという時代なのだ。この時代に核兵器の土俵上にいつづけるには、助け合い、協力し合い、努力して相互に扶助していく必要がある。2番目の位置につけている核保有国のいずれかは、それらの国が、軍備のために国民に60~70ドル(2009年現在)費やしたとしても、もはや野心を抱くほどの余裕などない。


こちらもご覧ください。


by k_nikoniko | 2011-01-25 10:31 | 原発・核