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フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2018 Kayoko Kimura
by k_nikoniko


フランス「新しい公共」の現状

フランスの市民団体が主催するイベントに参加したことがある。メインテーマは、「抵抗するのは難しい」だった。チリからの参加者の発言は、真に迫るものがあった。
どの国の人たちも、困難のなか、権力に立ち向かっている。
日本だけじゃない、とは思うけど、いまの日本はひどい…。

フランスでは自治体と市民団体による協働がすでにはじまっているが、その関係は、必ずしも「うまくいっている」とはいえないようだ。

2004年の地方分権改革、90年代以降のアソシアシオン(市民団体・NPO/NGO)の急成長は、地方自治体とアソシアシオンの協働が活発化させた。
しかし、サルコジ政権の新自由主義路線政策(1月18日フィヨン通達、サルコジ政権による新たな分権改革など)やこのところの金融危機、EUのサービスの自由化(ボルゲシュタイン指令)などの影響を受け、地方自治体とアソシアシオンの関係が揺らいでいる。
グローバル化と自由競争の激化にあえぐ地方、財政難と弱体化に歯止めがかからないアソシアシオンは、「良好な関係」を模索しているのが現状だ。

2010年10月末、市民ネットワーク(RECIT)は、ロレーヌ地方、ムルト・エ・モゼール県で国際会議を開催した。そのプログラムのひとつとして、ムルト・エ・モゼール県議会で、「地方自治体とアソシアシオンの協働」をテーマに、地元議員や住民との円卓会議が行われた。

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この会議で、ミッシェル・ディネ県議会議長(社会党)とディディエ・ミノRECIT理事長は次のような発言をした。

ミッシェル・ディネ県議会議長(社会党)
「アソシアシオンの衰退と地方自治体の弱体化の原因は共通しており、市民活動と公共サービスにおける市場原理の拡大にある。つまり、自治体が有する豊かな資源や人と人との交流は、非物質的な財産であるにもかかわらず、それを無視し、競争の原理を持ち込んでいるのだ。アソシアシオンと地元住民が協力してプロジェクトを実現する可能性を否定しようとしている。国際社会が緊張を増すなか、持続的な危機に立ち向かうには、以前にもまして、自治体と市民との日常的なパートナーシップ、そして、地域と世界をグローバルに結びつけながら住民を支援するネットワークが重要になる」

ディディエ・ミノRECIT理事長の発言。
「新自由主義のイデオロギー、自由競争の導入に、多くのフランス人は耐え忍んでいる。レジャー、文化、スポーツといった活動にたずさわる地方のアソシアシオンは、次第に商品化している。利益が期待できる活動かどうか、競争にさらされている。
政府はここ10年ほど、将来性のある多くの活動(研究、社会活動、健康、文化創造、スポーツ、環境保護、職業訓練)への助成を渋る一方で、アソシアシオンに対する入札を増加させている。民間組織と対等に競争できる事業が要求され、アソシアシオンが40年も地道につづけてきた社会福祉、教育、医療保険の“利益”は全く考慮されない。ここ数年、公益に寄与してきたアソシアシオンの多くが消滅し、多くが破滅寸前である。私利私欲のないアソシアシオン活動は崩壊の危機にある。
経済活動を求めるアソシアシオンも存在するが、アソシアシオンの究極目標は、社会との結びつき、地域との連帯、人材の育成(市民活動と昇給)、連帯、公教育にある。
1月18日フィヨン通達は、『アソシアシオンの活動の大部分は、経済活動とみなすことができる』と、アソシアシオンに競争の権利を与えている。これは全く容認できない。
国家に追随する自治体も存在するが、それに反し、アソシアシオンを支援しつつ、文化や職業教育の改善などの政策を打ち出している自治体もある。社会の本質的な権限を守るために、アソシアシオンは、価値感を共有する自治体とともに最前線に立たされている。
アソシアシオンと自治体が対峙する相手は、矛盾した立場を示している政府である。政府は、活性化を促進・支援しながらも、一方では活動を抑止しようしているのだ。政府は権力に抗うもの全てを弾圧しようとしている。この矛盾を強調しなければならない。
危機のときこそ、行動を起こす大きな機会でもある。より人間的な社会の出現のために、アソシアシオンと自治体がどのように一緒に行動することができるか? アソシアシオンが公共サービスを担っている今、「公益」という言葉を再検討し、アソシアシオンと自治体の関係を再定義する必要がある」
by k_nikoniko | 2013-12-05 08:59 | フランス
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