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おしゃべりな毎日

フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2023 Kayoko Kimura   

オバマ大統領について各国の人に聞いてみた

オバマ大統領の演説での疑問を、各国の知人に投げかけてみました。
私のくだらない質問に、数名から回答がありました。

「他の国の人は何を考え、何を議論し、何に関心があるのか」
アンテナを張っていなければ、どんどん国際社会から遠のいていきそうな気がします。
ここにいて「国際化」を語る自分に腹立たしくもなり、焦りもし…。

オバマ大統領への意見は、それぞれ大変興味深かったです。

イラク人(バスラ在住)
オバマ大統領の演説は、全ての米国人の心に響いたと思う。
指摘のあった表現(Muslim world、poor nations)については、私も嫌いだ。我々は、どんな民族、どんな宗教であっても、お互い尊重しあうべきだ。
それに、今日は貧しい国であっても、明日には裕福な国になるかもしれない!!
米国政府を変えるのは人々であり、政策はいつも同じだという印象を我々はつねに持っている。そして、イスラエルをはじめ、親米国に多くの干渉がなされていることは確かだ。オバマ大統領が理解力のあるところを示してくれることを期待する。彼が世界により多くの平和をもたらすことを心から願っている。オバマ大統領はブッシュ前大統領よりフェアであることを望み、彼の行動をみつめていたい。そのうち、もっとはっきりと彼を見定めることができるだろう。
正直、アラブ世界の私たちはそれほど楽観的ではない。でも、希望がなければ、人々は死んでしまうから!!



イラク人(バスラ在住)
オバマ大統領の演説は、最初からほとんど全部見た。オバマ大統領はブッシュ前大統領よりいいし、違うと感じた。そして、前政権から開放されたことを幸せに思う。なぜなら、それが私にとって最も大切なことだから。
ブッシュは何の理由もなくイラクを崩壊した、と私は思っている。これが第一印象である。
ふたつ目は、オバマ大統領は若く、言葉通り違うことができると感じた。この変化はまず米国人にもたらされるだろうけれど。
オバマ大統領は、アラブ以外の世界の人たちに、より多く時間を割くだろう。1ヶ月前にガザで起きたことでわかったのは、パレスチナの人々の生活を変え、彼らが来世ではなく現世で正義というものを手に入れるには、預言者が必要だということだ。
オバマ大統領は米国人のよきリーダーになるだろう。イラクにも、彼のようなよいリーダーが登場してほしい。
トルコ首相は米国に抵抗する力を十分に持っているが、アラブのリーダーのほとんどは強いとはいえない。そうしたリーダーが残っている限り、アラブに何の変化も起きないだろう。
イラクに関していえば、自分の国の問題で忙しすぎて、他のところで起きていることに参加するのが難しい状況だ。
オバマ大統領の演説は、世界に影響力のある国のリーダーとして、ノーマルだったと思う。世界をコントロールする、という点が、彼に自信を与えているのだろう。
しかし、我々は、ここ2~3年に何が起こるかを見るべきだ。

パレスチナ人(ヨルダン川西岸在住)
オバマ大統領には期待はあっても、米国の大統領がアラブ世界に通常以上のことをするとは思っていない。
チェンジは米国民に対してであり、世界を変えることについては、オバマ大統領にさほど望みを抱いていない。
ただ、もし彼が米国の外交政策を変えたら、世界は良くなるかもしれない。忘れてはならないのは、オバマ大統領は、国内問題をまず解決するために米国民に選ばれたことである。だから、世界の残りの国々は後回しになるだろう。
チェンジは世界の残りの国々とともに実現されるべきだと、少なくとも私はそう思っている。
米国民が黒人の大統領を選ぶとは信じられなかった。しかし、オバマ大統領によって、それがなされた。だから、もし彼のような人物が現れなかったら、黒人の大統領が誕生することはなかっただろう。黒人にとって、良いことたった。
しかし、今の段階では、それ以上を考えるべきではないだろう。
私は楽観的だ。世界は、ひとりの人によってではなく、世界中の人たちの意思で、変わるだろうと考えている。

インド人(留学生)
オバマ大統領が問題にしているのはアラブではなく、宗教であり、誰が米国の大統領になろうとも、イスラム教についての考え方は変わらないだろう。
オバマ大統領がブッシュJr前大統領よりましなのは、誰も否定しないだろうが、シナリオは違う方向へと進み続けるだろう。

バングラディシュ人(留学生)
私の意見としては、オバマ大統領の演説には、約束をしたけれど実行には全く移さなかった前大統領のときと同様、斬新なことや約束が含まれていた。
彼の演説で判断を下すのは早すぎるだろう。100日以内に、彼がどんな行動をするか見ていたい。
オバマ大統領は、米国の政策の汚点を消したがっている。例えば、グアンタナモ基地の閉鎖といったことだ。また、イランとの前提条件なしの交渉を望んでいると表現した。
しかし、タリバンとは交渉の席につかず、軍事力ではなく政治的に解決しようとしないことに、私は驚かざるを得ない。なぜなら、アフガニスタンの問題は軍事力では解決されず、民間人の生命と何億というドルが費やされるだけであることを何度も何度も証明するにすぎないからだ。
イラクについてのオバマ大統領のスタンスは明確である。国外の権力を介入しないで、イラク人による民主主義国家建立のチャンスを与えるというものだ。しかし、ここにも問題は残っている。
ブッシュ政権による脆弱で最悪の経済状況が引き継がれたのであり、オバマ大統領は国際問題にかかわる時間がほとんどないだろう。国内が不安定なときには、他の国のことなどかまっていられないはずだ。
パレスチナ問題についてのオバマ大統領のヴィジョンは見えてこない。ユダヤ人ロビーとどのぐらい距離をおくことができるか、アラブに和平をもたらそうという気持ちがどれほど強いかで、それは決まってくるだろう。
和平交渉だけが効果的だとは思わない。過去に何度も、そのことは証明されている。
オバマ大統領はまた、ハマスと交渉する必要もあるだろう。

イギリス人(留学生)
正直、演説に感動した。多くの米国人は、ブッシュ前大統領からの変化を待ち望み、オバマ大統領に高い期待をかけている。だから、彼はそれに応えるような演説をしたのだ。
演説は多くのことを含んでいた。特に、国際的な紛争、経済状況、温暖化と消費社会、政治の透明性と市民の義務など。いくつかの問題について間接的にうまく言及しており、直接的ではない(そして扇動的でもない)批判や挑戦が含まれていた。それらは、外交官的な手法ともいえるのではないか。
しかし、全体的な印象は、世界を大きく変える可能性を持った新しい大統領として、非常に踏み込んだ、ヴィジョンのある演説だったということだ。
それをどう実現していくのだろうか。すでにグアンタナモ基地やその他のCIA拘留センターの閉鎖や、拷問として批判されていた尋問の禁止を決めたと新聞などでは読んだが。
彼の実行力を確信させるために、迅速に成果を挙げる必要があるだろう。良いスタートが続くよう期待しよう!

アイルランド人(23歳)
もし米国が民主主義の国でなければ、大統領の交代は確かに重要で、本当に物事が変わるかもしれないが。
時間がたてば、オバマ大統領の力量がわかるだろう。米国の権力構造の中心は金融システムであり、それに反対してきた歴代の大統領は消されている。
個人的意見として、今回の金融危機に対するオバマ大統領の対応で、彼に対する信頼を失った。
by k_nikoniko | 2009-02-04 17:29 | 民主主義