フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2018 Kayoko Kimura
by k_nikoniko


「明日、ママがいない」変更すべきは社会的養護の意識

虐待された子どもたちが施設でたくましく生きる姿に心打たれるだけでいいの? 子どもたちが本当に必要としているのは、傷つけないことではなく、充実した社会的養護

普及が遅れる里親養護に悪影響も

「里親のお試し期間の場面、子どものほうから断るなどありえないし、現実とは違いますよね」 日本テレビ系のドラマ「明日、ママがいない」を観て、Aさんはそう感じたという。Aさんは7年前に里親になり、現在は2人の里子を養育中だ。
 このドラマでは、第3話までのところ、里親がネガティブに描かれている。それでなくても、日本では里親や養子縁組に対してマイナスイメージがつきまとう。ドラマによって、里親への偏見が助長されるのではないかと心配するのは、Aさんだけではない 。
 里親とは、要保護児童を家庭的な環境で育てる制度。児童が実の家庭で養育できない場合、国や地方自治体などが要保護児童を養育することを“社会的養護”というが、この言葉が公的に使われだしたのは2003年からで、日本にはまだなじみが薄い。
 社会的養護には、家庭的養護と施設養護の2つに分けられる。家庭的養護の中心的役割を担うのが里親制度だ。
 家庭的養護は、子どもに一般的な家庭環境を与え、特定の大人と安定した人間関係や信頼関係を築くことができる。虐待を受けた児童のケアには特に、「温かい家庭」が必要だ。
 児童虐待はここ20年50倍超にも膨れあがり、児童養護施設で暮らす子どもの半分以上が被虐待児だ。入所する子どもの数は年々増加し、施設はほぼ満杯状態。施設職員の人員は不足し、専門的なケアを必要とする子どもたちに目が届かない現実がある。
 にもかかわらず、日本では要保護児童の約9割が施設に入所し、里親委託児童の割合は12%と、他諸国に比べて極端に低い。
「海外では、養護施設より里親に委託される子どものほうが圧倒的に多いのに、日本ではその逆なんです」
 Aさんが昨年出席したFICO(国際フォスターケア機構)大阪世界大会でも、海外の里親関係者から「日本の施設養護への偏り」を指摘されたという。
 厚生労働省がHP上で公開している社会的養護の資料によると、児童養護施設の入所児童数は29,399人(13年10月現在)、里親への委託児童数は4,966人(12年度末)。
 一方、イギリスやアメリカは70代、フランスは54.9%、オーストラリアは93.5%が里親委託。香港は79.8%、韓国は43.6%で、アジアの国と比較しても日本は低い割合だ。
 日本で里親養護が広まらないのには、「里親養護に対するスティグマが関係している」と森口千晶教授(一橋大学)は書いている。実際、里親によって子どもが再び虐待される事例もあり、児童相談所の職員は、プロがいて規則正しい生活を送れる施設にあずけたほうが安心だと考えがちだという。預ける側(実親)も、「里親に子どもが奪われる」と、施設を望む人が多い。
 里親への信頼度が低いのには、日本の里親制度の不備にあるともいえる。里親になる前の研修や子育て中のケアがほとんどなく、児童相談所では、子どもひとりに対してひとりのケースワーカーが担当するが、里親の面倒をみるわけではない。
「里親に対する専門家のケアがないので、自分たちで『この子には何が必要か』を考えて子育てしなければならないんです。里親にケースワーカーがつかない日本の制度に、海外の専門家は批判的です。そうした状況なので、なかには、里親になってから放棄する人もいます」とAさん。
 日本の里親制度は、里親のボランティア精神に頼り、社会的養護としての位置づけが薄かった。里親の専門機関がなく、研修や支援がなされず、子どもの権利についての意識も低い。イギリス、ドイツ、フランスなどの家族政策関連支出の予算は、GDPの2~3%だが、日本の0.75%(03年)にとどまっている。
 要保護児童のおかれた状況がますます深刻化する昨今、政府はやっと重い腰を上げ、社会的養護体制を充実させるための検討がはじまった。2007年2月に厚生労働省は「社会養護体制に関する構想検討会」を設置。検討会の報告書では、より多くの社会的資源を投入するなど、社会的養護体制の拡充の必要性が指摘されている。
 社会的養護体制強化の方向性として「里親委託の推進による家庭的養護の拡充」が示され、2010年1月に閣議決定した「子ども・子育てビジョン」では、里親委託率を来年度までに16%に引き上げる目標を掲げた。さらに、5年前には、里親に支給される手当を引き上げ、研修も充実させた。これらの成果もあってか、里親委託はここ10年間で2倍以上に増えている。
 こうした里親養護の見直しがなされているさなかに、「ママ、明日がいない」が放映された。ドラマが、里親養護の拡大に水を差すのではないかと懸念するのも無理はない。

不妊治療から里親へつながらないワケ

「不妊治療と里親養護がつながっていないんです。晩婚化が進み、里親制度を活用したい人も増えると思うのですが…」 不妊治療の末、実子を断念して里親養護に踏み切ったAさんはそう話す。


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# by k_nikoniko | 2018-06-13 21:00 | 社会問題

女性除染作業員の取材追記(2)

「道路工事に出くわすように、除染現場に出くわすことがあります。子供を連れていて、マスクも何も用意してなくても、その道を通らなくてはならないんですよ」
福島市在住の女性はそう言っていた。
「でも、今は雪があるから、除染はしてないですよ。計画通りにはやってないです。そうそう、高校の敷地内に除染した汚染物質が積み重なってるので、ぜひ行ってみてください」

そう教えられ、ホテルでの朝食後、さっそく学校へ行ってみた。
ちなみに、私が滞在したホテルは、復興庁のあるビルにあったので、平日の朝食は、作業員らしい人や、職員らしい人(みな顔色悪い感じ)と一緒になった。
地産地消がホテルの朝食の売りらしく、福島産コシヒカリや牛乳などが並んでいた。

説明通り行ったら、高校にたどりついた。通学路に沿って、敷地内にずら~っと放射性汚染物の袋が並ぶ。
除染作業は終了していないようで、ここに一時保管しているらしい。

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福島に住む別の女性が、「美術館と図書館の横に汚染物が積まれていた。開館してないと思ったら、通常通りやっていて、びっくり」と言っていたのを思い出し、美術館にも行ってみる。


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# by k_nikoniko | 2018-06-07 09:07 | 原発・核

自殺予防週間だったのですが…

9月10日は世界自殺予防デーで、16日までの一週間は「自殺予防週間」だった。
2007年にはじまり、今年で4回目。
私の知る限りでは、ほとんど報道もされず、国民の認知度は低いのではないかと思う。
昨日、「秋の交通安全週間」のニュースは流れたが。
警察庁のHPによると、2009年度の交通事故死亡者数は4914人、自殺者は32845人。
今年、この予防週間がほとんどニュースにならなかった大きな理由は、民主党の代表選、でしょう。
2010年8月の自殺者数(暫定、警察庁HP)は2521人で、1日平均80人以上が自ら命を絶ってる。
民主党代表選の2週間で1000人以上、という計算だ。
実際に自死した人の数は、警察発表よりずっと多いと思われる。

1993年、ロンドンで、サマリタンというイギリスの「いのちの電話」のことを知った。
当時、イギリスでも自殺が問題になっていた。
日本人の知り合いは、「イギリス人は、個人的な悩みを、身内や友人にあまりしたがらない。赤の他人にしたほうが、気が楽らしい」と教えてくれた。
そのとき、「日本人だったら、友だちとかに話すよね。他人に悩みを打ち明けたりしないで」と言ったのを覚えている。
自分のこの言葉はずっと引っかかっていて、最近は特に、その発言は間違っていたのではないかと思う。
身内や友人に悩みを打ち明けられない日本人もたくさんいる。
昔から? それとも、そういう世の中になったのか……。

気になったので、イギリス、フランス、日本の1993年ごろの自殺者数(10万人あたり、15歳以上)を調べてみた。
1993年のイギリス政府発表は、男性20.5人、女性6.5人。
その後、数は一進一退をつづけ、2008年は増加している。
1992年のフランス政府発表は、男性32.9人、女性10.6人。
フランスは、1994年ごろをピークに微減の傾向にある。
日本は詳しい数字がわからず、WHOの2005年調査によると、1995年は男性23.4人、女性11.3人。
警察庁発表から概算すると、1993年の死亡者数は22104人で、男女平均で18人ぐらいか。
1997年の24391人までは横ばいで、1998年に32845人と急増し、その後3万人台がつづいている。

フランスの対策については以前書いたが、決定的な効果が現れているとはいえないようだ。
日本も自殺対策をはじめたが、情報公開やサポートシステムは不十分だと感じてしまう。
人前でこのことを話題にするのははばかれる、という意識からだろうか。
このままでいいわけないのに。


(2010.09.18 10.06)


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# by k_nikoniko | 2018-06-03 13:45 | 社会問題

日本は世界一の中絶が多い国?

ピル解禁こそ女性革命の第一歩、ととらえるフランス女性にとって、ピルに懐疑的な日本女性は不可解な存在のようです。
日本でピルが解禁された当時、さまざまな雑誌でその状況が取り上げられました。
ある女性誌に掲載された記事には、多くの間違いもありますが、「日本女性と少子化問題」を西欧人がどう見ているのかを知ることができます。
特に、中絶については、痛烈に批判しています。以前も少し書きましたが、中絶に対して、西欧と日本には大きな考え方の差があるようです。

以下、1999年の記事です。

ピルが浸透しない日本

世界で最も中絶の多い国で、ついにピルが解禁となった。しかし、女性たちは副作用を恐れている。

9月末、日本でもピルが解禁になった。先進国のなかで、日本は禁止されている唯一の国だった。議論は長引いた。ヴァイアグラが6ヶ月で許可されたとき、騒動が起こった。政府は「ピル問題」を無視できなくなったのだ。

なぜこれほどまで遅れたのか? 多くの女性が消極的なのか? 髪を赤く染めたり、青い眼のコンタクトレンズをつけても、結局、日本女性の頭の中は変わっていないのである。

未熟で、情報不足。これがインタビューで明らかになった事実である。それだけでなく、性に関する調査が示すように、日本女性の性革命は穏やかなのだ。74%の男子、55%の女子は、マンガやポルノ雑誌から性について情報を得るのである。

日本では性教育が不十分である。「18~35歳の女性は未熟である。自分の生き方をコントロールする習慣がない。ピルを服用するかどうかは、相手次第だと答える女性が多く、自分で決めない」と語るフランス人ジャーナリストもいる。

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# by k_nikoniko | 2018-06-02 09:59 | 男と女

育児の天才は仕事もできる?

イギリスでも、男性が育児休暇をとりにくい環境だといいます。「男性も育児に協力的な紳士の国」というわけではないようです。
それでも、かなり前の話しですが、ブレア首相は就任中に息子が生まれ、公務の時間を削減して育児に取り組みました。
日本人にとっては、イギリスでさえ隣の芝生といえます。日本の父親が育児に費やす時間は1日平均17分で、非常に少ないと海外の新聞で指摘されたこともありました。
スウェーデンでは育児休暇取得者に出世の道が開かれているそうです。育児経験者は優れた企業人になる資格があるとのこと。だとしたら、「有能な企業人は、育児も立派にこなすことができる」という逆説は成立しないでしょうか。バリバリ働く日本のパパたちは、実は育児上手なのかもしれません。
相次ぐ青少年の悲惨な事件のたびに、家庭環境がクローズアップされますが、いつも話題になるのは母親と子供のかかわりです。父親の存在はいつも薄いですね。
育児は、仕事の達成に値する貴重な経験といえないでしょうか。
胸を張って育児休暇をとることのできる社会には、子供の悲痛な叫びの代わりに、笑顔があふれるのではないかと思います。


(2005.12.15 17.39)

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# by k_nikoniko | 2018-06-01 08:28 | 男と女

女性除染作業員の取材追記(1)

3月11日発売『週刊女性』で女性除染作業員を取材した際、記事にできなかったことを書いていきます。
「除染作業員のなかに、女性もいますよ」と聞いたのは、今年はじめ。
除染作業がどのように行われているか。その時点ではまったくわからなかった。
私が最後に福島へ行ったのは、2012年9月。福島市内の町中で見かけることはなかった。
そのころすでに、除染事業はスタートしており、飯館村に行ったときには除染作業をしているのを見たぐらい。

福島市の友人に聞いたら、「若い女性が働いていて、『え!』って驚いたことがある」との返事。
被ばく労働に詳しい方からは、「ハローワークでも募集してるし、求人サイトを見てください」と言われる。
ハローワークの求人情報で「福島 建設業」を検索してみると、「作業員」の職種で「除染作業員」の募集があった。
グーグルなどで、「福島 除染」のキーワードを入れると、数百の除染作業員募集にヒットする。
除染作業員の求人広告には、「素人でも大丈夫」「簡単な作業です」「高収入」と、目を引くキャッチが並ぶ。
特別な資格が必要なわけでもなく、日給10000円以上の魅力的な賃金。
就職難のこのご時世、軽々しく飛びついても不思議ではない。
「軽作業なので女性にもできます」「女性も活躍中」と女性を募集する業者も。
年齢の下限は18歳。
将来子どもを産むかもしれない女性たちも、何の制限もなく除染の仕事に就くことができる。
「18歳以上」とあるが、男性であっても、10~20代、30代の若者が、被ばく労働をしていいのか疑問だ。


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# by k_nikoniko | 2018-05-31 08:27 | 原発・核

フランスの婚活事業

意外かもしれませんが、「出会いのチャンスがない」と嘆いているフランス人は52%。
90年代末から、こうした状況が問題視されるようになり、出会いの場を作り出そうというムードが高まっています。
その頃から、「男性との出会い方」といった特集がよく雑誌に掲載されました。
「日常生活 (職場、スーパー、本屋、地下鉄など)を見直そう」とか、「スーパーが穴場。買物内容で独身かどうかチェック」とか、かなり実用的な方法が紹介されました。フランスでは、エリアごとに出没する男性が違うので、「場所別、男性タイプ別誘惑法」といったものまで幅広く出会いの手段を提案していました。

フランスでは、街中や、サークル活動などの余暇(スポーツや映画、フェスティバル、美術館など)で声をかけるといった突発的な出会い(ようするにナンパ)が大きな割合を占めています。
出会いの場は階級により異なり、エリート層は大学や友人のパーティ、一般層は職場で、それぞれ12%。それに続き、バカンスでの出会いが5%、その他として、フェスティバル、美術館、スーパーマーケット、バーなどがあります。結婚相談所での出会いは1%です。
ただ、活動の場が広がったわりには、いずれも決定的な新しい出会いポイントにはなっていないそうです。
以前はダンスパーティや近所づきあいでの出会いが多く、40%(戦前)がこのパターンでした。
しかし、1980年の調査では、「ダンスパーティや近所づきあいで交際が始まった」と答えた人はほとんどいません。

それに加え、インターネットや携帯電話の発達で面と向かって語り合う機会は減り、人々は疑い深くなっているためになれなれしく話しかけるのも危険、というわけで、「声をかけたくても、どこで?」と悩んでいる人が増えているというのです。

ここ数年、恋が芽生える優しい環境づくりが加速しています。
パーティ・ビジネスも盛況で、出会いを演出するレストランやカフェも増加中。
2004年に発行された総合誌「Le Obserbvateur」の別冊パリ・ガイドには、ナンパに最適なスポットを紹介する項目も加えてありました。
カフェ、書店、市場、映画館、スーパー、図書館、プール、CDショップなど、ジャンルもいろいろで、異性愛者向け、同性愛者向けのマーク入りです。



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# by k_nikoniko | 2018-05-27 07:59 | フランス

レシピ紹介サイト「おいしいオートミール」を開設しました!

オートミールのおいしい食べ方を紹介するサイト「おいしいオートミール」を開設しました。

和洋中のアレンジ、お菓子、愛犬ごはん、200近いレシピをアップしています。

栄養バランスに優れ、食物繊維が豊富なオートミールは、理想的な健康食品ですが、「おいしくない」とのイメージが強いですね。

タンパク質が豊富なオートミールは、肉の代わりに使うなど、食材としていろいろ楽しめます。

おまけに、ダイエットにも適した食品。

よかったらサイトをご覧ください。


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# by k_nikoniko | 2018-05-25 08:26 | ひとりごと

こんな国際恋愛も…という話を連載中です

イギリスのロンドンを舞台に、憧れの海外生活をはじめた日本人女性と、日本女子好きなイギリス人男性とのラブストーリーを連載中です。


「イギリス人の恋人」にちょっぴり期待する弘美と、「日本人女性」と夢みるイギリス人のマシューは、パブで出会い、交際をスタート。
でも、言葉や文化の違いから、あこがれていたような関係になるどころか、ギャップは広がるばかり……。

紳士的なイギリス人、が実は同国の女性にはモテない「ダメ男」だったり。
外国人が抱く日本女性のイメージに誤解が多かったり。

実際にロンドンなどで見聞きした話を参考に、日本人女性と外国人男性(特に欧米人)が陥りがちな恋愛パターンを描いた作品です。

この作品はフィクションで、登場するイギリス人などの外国人は、架空の人物です。
こんな外国人(特にイギリス人)ばかりではないことを、お断りしておきますが…。


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# by k_nikoniko | 2018-05-24 08:48 | 男と女

大人は子供に性虐待を語らない?

女の子が犠牲になる事件が続いています。
通学路の安全を確保する施策がとられていますが、「危険な人物とその行為」について子供に伝えることには抵抗があるようです。
フランスの幼児虐待対策法では、子供に教えることを重視していますが、日本は語りたがりません。
特に、父親は娘に起こりうる現実に目を背けがちなのではないでしょうか。
以前、フランスの子供が描いたメルヘンチックな性教育絵本を見せたとき、ある男性が、「できれば子供には見せたくないよね」と言いました。
どのように幼児虐待から身を守るかについて、父親は娘に教えたくないのでしょうか。
そういう話しを避けるのは、自分が恥ずかしかったり、子供にはまだ早すぎると考えるからだと思います。
大人の視点から。
言い換えれば、大人のエゴから。
でも、現実には、幼い子供が犠牲になっています。
大人が無言でいる間に。
恥ずかしいこと、苦手なことでも、大切な人を守るために勇気を出してやるのが、大人の責任です。

(2005.12.14. 11:39)

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# by k_nikoniko | 2018-05-19 10:35 | ジェンダー