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フランス科学者4人の「原発を擁護する理由」

2011年7月22日のメディアパルトの記事です。

善悪二元論で反対派をたたくのではなく、脱原発派と原発推進派の本質的な議論を展開するのを目的に、今回はフランスの原発推進派4人をインタビューしています。

インタビューした相手は有名な研究者ですが、原子力産業の経営陣といった原子力勢力ではなく、フランス電力公社やアレバの代弁者でもありません。ただ、職歴からもわかるように、原子力業界となんらかの関係を持っています。

カトリーヌ・セザルスキー:世界的に著名な天文物理学者、フランス科学アカデミーのメンバー。2009年よりエネルギー長官。原子力エネルギー庁(CEA)で天文物理と物質科学管理の責任者。現在のポストでは決定権は持たないが、政府のアドバイザーとしての機能を果している。

セバスチャン・バリバール:パリ高級師範学校の統計物理研究所に所属するフランス国立科学研究センターの研究所所長。科学アカデミーのメンバー。温暖化ガス排出減少に向けた原子力開発を推進する「Sauvons le climat」加入。

エドゥアール・ブレザン:物理学者、技術者。1963~1989年は原子力エネルギー庁勤務。1986~1991年は高等師範学校の物理部門の責任者。フランス国立化学研究センター理事長の後、科学アカデミー理事長。科学アカデミーでは、フクシマ第一原発事故担当責任者。

クリスチャン・シモン:化学者。ピエール&マリー・キュリー大学学部助教授。次世代原子炉に使用する「溶解塩」に関する研究をしている。この「溶解塩」は太陽熱集熱器やバッテリーの電解液のようにも使用できる。

1.なぜ原子力エネルギーはいまでも必要か

セバスチャン・バリバール:世界的な地球温暖化の現状では、二酸化炭素を排出しないエネルギーを見出さなければならない。地理的地域によって状況は異なるが、先進国では、太陽や風力エネルギーが原子力に取って代わる可能性はない思う。電力は大量に貯蓄できない。脱原発のドイツの選択は、ガスと石炭の消費を増やすことになるだろう。ドイツ政府はつい最近それを告白した。すべての原発を無炭素エネルギーに代えるのは、恐るべき挑戦ともいえ、10年の間に実現するとは思わない。ドイツはフランスより1人当りの二酸化炭素排出量が1.5~2倍多く(2007年でフランスの6トン/㎥に対し、ドイツは9.6トン/㎥)、さらに悪化するだろう。

エドゥアール・ブレザン:経済学者は、エネルギーの需要が2050年には2倍になると言っている。同時に、2050年までに、地球の温度を2℃以上上昇させないという目標を達成するには、世界で温暖化ガスの排出量を半分にしなければならない。排出量を半分にして消費が2倍になるというのは、恐ろしい方程式だ! 目標達成のためにはあらゆるエネルギーが必要になる。再生可能エネルギーはもちろんだが、原子力も必要だ。

カトリーヌ・セザルスキー:天文物理学と同じく、私は地球を全体として見ており、世界規模で未来を非常に重要視している。各地の気候変動の正確な影響を予測することはできなくとも、二酸化炭素排出を減らすことが最も重要だと考える。石油の時代はもうすぐ終わる。いつか? それは代替エネルギーの発展の仕方による。現在の速度でいけば、「低価格の」石油は25~30年後に終了する。石炭の埋蔵量は莫大だが、それを使用すると二酸化炭素の大量の排出を伴う。石油とガスの地政学的緊張と、気候温暖化の事実から、化石燃料以外の資源を探す必要性が問題になってくる。太陽熱、風力、バイオマス、海洋エネルギーなど、いろいろ期待できるが、どんな場合でも、原発を止めることはできないと思う。そうするのは適当ではない。ノルウェーとオーストリアは、水力発電で多く生産する可能性があり、隣国との送電も活発だ。これらの国では原子力がなくてもよい(しかし、オーストリアは原発を有する隣国から電力の一部を購入している)。フランスの状況は同じではない。フランスは長い間、最も望ましい方法で、水力発電を運営してきた。原発はその後、火力とバランスを保ちながら、成果を上げてきた。

2.原発施設はどこにでも建設していいのか

エドゥアール・ブレザン:どこでもいいのではなく、政治的に安定している国に建設すべきである。2010年にフランス政府がやろうとしていたが、カダフィの統治するリビアに原発施設を売ってはいけない。それから、エンジニアや技術者の教育が行き届いた企業の存在する国でもあるべきだ。これらの条件が満たされたときに、原発の稼動が優位になる。ドイツとイタリアはこの選択権を手放すという失敗を犯したと思う。

セバスチャン・バリバール:原発は先進国と、中国やインド、ブラジルのような新興国に向いている。それらの国は、必要な技術レベルを有し、安全性の問題に協力できる。こうした条件により、化石燃料は発展途上の国々が活用するよう保存できる。

カトリーヌ・セザルスキー:原発は世界規模の二酸化炭素の問題を解決しない。それぞれの国が、自身の資源と工業発展に応じてエネルギーの選択をする。山岳地帯の国(スイス、ノルウェー、チリ、オーストリア)は水力発電が重要な位置を占める。太陽光線が強い(「サンベルト」)の国々は、太陽熱集熱器などを最大限に活用できるかもしれない。中国の電力需要は非常に多く、あらゆる方面で重大な発達をしている。アメリカは、エネルギーの独立を確実にするために最も安価な方法を選ぶだろう。それが天然ガスである危険性がある。アメリカでは、無炭素エネルギーでなくてはならないという意識があまり強くない。

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by k_nikoniko | 2011-07-26 13:35 | 原発・核

原子力と民主主義

フランスの雑誌Altermondeの「科学と民主主義」特別号に掲載された、「民主主義の核」の記事の翻訳です。
この記事は、福島第一原発事故の前に準備していたそうです。

福島第一原発事故そのものと、この事故による健康および環境への計り知れない影響は、チェルノブイリ事故から25年たっても何も変わっていないことを示している。原子力は産業として存在しているが、そのリスクは実際に誰もコントロールできない。軍事産業がそれを出現させ、その闇の習性に定められた原子力業界では、人々の意見がほとんど反響を呼ぶことはない。

いたるところで行われている原子力研究は、歴史的に、軍事的な関心に向けられる。「この技術を所有するのは、“大国の取り巻き”に加わることであり、地政学のチェス盤に影響されるている」とCERES(環境・社会情報研究センター)のスザン・トプシュは強調する。「産業と文明への原子力計画がはじまったのは、経済発展に伴う莫大なエネルギー需要に応えるためであり、60年代の中ごろにすぎない。1973年の石油ショックがこの傾向を決定づけ、先進国を石油の代替物の探求へと導いた。フランス、というよりフランス政府は、全面的に原子力を選択した」
予測不可能な危険、解決できない放射性廃棄物の問題、さらには、その技術が消費社会と警察社会を作り上げる手段であることを指摘し、反対運動はそのとき生まれた。しかし、こうした議論が原発の出現を可能にしてしまった。「原発選択の正当化に関する疑問は、フランス人に問われることは一度もなかった」と、CRIIRAD理事長のロランド・デスボルドは認識する。「議員たちは、1991年にバタイユ法(放射性廃棄物管理研究法)の制定で、放射性廃棄物の行く末を解決しなければならなかった。2006年のもうひとつの協議では、TSN法(原子力に関する透明性および安全性に関する法律)にいたった。しかし、議論はいつも周縁を対象にし、根本的な問題を提起しなかった。

1986年のチェルノブイリ事故で、ヨーロッパ諸国の政府は原発問題の政策を転換した。「それに最もかけ離れていたのがフランスだった。世論の情報を歪曲し、高気圧が国境を超える雲を防ぐと天気予報で証明し、それを信じ込まされた」とスザン・トプシュは述懐する。その反動で、反原発団体はその後、情報の透明性の問題に集中しがちだった。「極端な秘密政策を行使する一方で、フランス政府は、情報へのアクセスという点だけを問題にした異論の“操作”に躍起になった」 仕方がないので、人々はせめてもと過ぎ去った沈黙と嘘の時代を考えていた。しかし、福島第一原発事故により、全然違うことが起こった。事故の直後から、鉛のような天井が原発施設の崩壊した原子炉の上に倒れ、放射線を抑制する代わりに、情報がブロックされた。危険に身をささげた作業員は、制御不能になった原発施設と格闘している一方で、日本政府は国民に安心させようとしていた。汚染レベルは人の健康には影響ないが、汚染された地元農産物を購入したり、東京の水道水を飲むことを控えるよう指示するという、矛盾した発表が続いた。実際のところ、損害の実際の大きさがわかるのには、数ヶ月後、たぶん数年後かかるに違いない。
地震地帯であり、さらに核の危険に敏感である国に原発を建設するにあたり、日本は効果的な原発施設防護について理解していなかったのか。他の国、特に南の国々(発展途上の国々)の状況を考え、事故に直面して明確な行動がとれなかったのか。ニジェールのようにウランの生産地は沈黙に支配されている。グリーンピースとCRIIRADは、ニジェールの探鉱地帯の地下水層の汚染を確認し、すべての公式報告書を否定した。サハラ砂漠や(フランス領ポリネシア島の)ムルロア環礁での核実験の影響をめぐる沈黙もまた、地元住民、もしくはフランスの現地職員、軍隊やそれに準ずるものにとって同様である。アメリカを比較としてあげれば、米軍兵士の被ばくが確認され、10年前から補償対策がとられている。


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by k_nikoniko | 2011-07-23 21:53 | 原発・核

幌尻山荘のトイレ問題

このところ相次いで幌尻岳で山の事故が起きているようです。
「今年は残雪の融雪が遅れ、天候不順もあり、額平川の水かさが増している」と幌尻山荘の排泄物運搬作業を行っている「日高山脈ファンクラブ」の方からの情報がありました。
幌尻山荘のトイレが機能せず、毎年夏に3回ほど、排泄物を運搬して下山する活動が行われています。
今年は7月に1回目が行われ、2回目は8月に実施されるそうです。

登山ブームのなか、北海道の山のトイレ問題が深刻化しています。
百名山のなかでも人気の高い、日高山脈の最高峰・幌尻岳もそのひとつです。
日高山脈は、国内最大面積の国定公園に指定され、世界自然遺産指定に向けた国内候補地に選ばれています。80年代はお盆でも数名だったという登山者が、90年代から急増。しかし、中腹にある幌尻山荘のトイレ設備は時代に追いついていません。
山荘のトイレは地下浸透式で処理していましたが、大学の研究で排泄物による土壌汚染が判明。
2005年からボランティアの手による排泄物の人力運搬がはじまりました。
行政もトイレ対策に乗り出し、バイオトイレの設置して2007年に使用が開始されましたが、すぐに機能が停止し、水力発電機も故障。結局、年数回の人力運搬がつづけられています。
運搬した排泄物量は5年間で3トン以上になるだろうとのこと。一般市民、地元山岳会、行政職員などボランティアの参加者は、延べ200人を越えます。

2009年8月16日、「幌尻山荘排泄物人力運搬登山」(日高山脈ファンクラブ主催)に同行しました。
取水ダムから山荘までの高低差は約200メートル、距離は3キロほどですが、15回以上の渡渉を繰り返さなければならず、この山の難易度は高レベル。
登山初心者には「無謀」な挑戦であり、しかもトムラウシの事故直後だったのですが、主催者はじめみなさんの多大なご協力のもと、なんとか行って帰ってきました。

ちょっと古いのですが、そのときのレポートです。

登山口から取水ダムまではマイクロバス。細いクネクネ山道のため、途中で車酔いしてしまった。
参加者は、男性8名と女性4名の計12名。朝8時過ぎ、幌尻岳入口の取水ダムで、一斗缶をザックに収納し、四リットル缶を背負子にくくりつけ、身支度を整える。缶はすべて空。幌尻山荘のトイレに溜まった排泄物を運び下すのに使う。
快晴ではないものの、まずまずの天気。それでも、日高山脈を源流とする額平川の水は冷たかった。深さはないが、意外と流れが速く、油断すると足をとられそうになる。
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by k_nikoniko | 2011-07-23 13:48 | 社会問題

原発のリスク保険は誰が払うべきか?

フランスのメディアTera-Eco電子版の2011年6月13日に、「原発事故のリスク保険」に関する記事が掲載されました。

記事は次のような内容(全訳ではありません)。

原発事故を予想して、消費者に課税し、共同資金を積み立てなければならない。しかし、その金額は? そして、誰が運営するのか? 原発は民間セクターにとどめておくべきだろうか?

福島第一原発事故の損失額は、厳密に見積もるのは不可能だ。人々の苦しみや不安、生態系の崩壊はお金に換算できるのだろうか? 金銭での見積もりには限界があるケースとして、2つの項目がある。

・災害復興にかかわる費用:心の健康に関してはもちろんのこと、地域住民へのケアと補償を考慮に入れながら、地上と海上を元の状態に復興するうえでの危機管理。

・経済的損失(流通の断絶、東京電力の価値損失、日本の株価の下落、経済活動への影響、日本および海外の原子力産業とそれに伴う産業の雇用、既存原発の安全に必要な再建費用、今後徐々に脱原発に向けるための費用など)。規模の程度や項目ごとの合計額を知るには時間がかかる。津波の影響をどのようにしてうまく区別するか? 確実にその総額は、1000億さらには1兆ユーロになる。

これらの費用はオペレーターが援助してくれるのではなく、支払う側の国(つまり国民)と補償されない被害者、もしくは、国か被害者がけりをつけるということをみなわかっている。

なにより、原子力エネルギーの消費者にリスク保険料を払わせるのは、論理的であると思われる。化石燃料による発電の気候への影響を懸念し、そして、十分とはいえないまでも、ヨーロッパ市場で割当量が決められ、長年望まれてきたのである。民間保険会社は原子力の危険性に向き合おうとしなかった。解体の貯え(総額が問題になったとしても)と事故時の現金化に適した共同資金の創設には慎重である。原発保険を増加するのは容認しかねるだろう。結局のところ、総額の計算が残されている。一方では重大事故の可能性、もう一方ではその事故に関連した損傷の総額を加算するのが重要だ。

めったに起きない出来事に対して、可能性を計算するのは非常に難しいのは明らかだ。同様の原理に関して:社会は、少ない可能性で重大な結果を及ぼす事故を受け入れる用意ができているだろうか? 計算の方法に関して:ときには最小限であるが、悲劇的になるかもしれない事故の全体像を推測すべきだろうか? 4つの事故(チェルノブイリが1つ、福島第一原発は3つの原子炉)と数えるべきか、ひとつとすべきか? 事故の可能性を目標にし、それに応じて原発の適正規模を決める立案者がよい計算をするとみなすべきだろうか?

粗野なアプローチではあるが、とりあえず推測を進めよう。フランスと比較可能な世界の原発施設は、運転中の14000年・原子炉で、重大な事故(チェルノブイリと福島第一)は2回起きた。30年後を推測してみよう。そのときフランスの原発施設は1800年・原子炉が稼動している。チェルノブイリのケースを度外視して、今後30年間でフランスの原発施設で10%の事故の可能性があるだろう(1800/14000の比で端数切捨て)。損失額については、事故1回につき1兆ユーロ程度だろう。そこで、1000億ユーロの共同資金を積み立てる必要がある。30年で、電力生産量は約12000テラワット。現実的かどうかは抜きにして、1メガワットにつき0.8ユーロほどのリスクカバー率の保険料にしなければならない。合計では、年間3~4億ユーロになる。

もちろん、ここで出た数字は例でしかない。会計検査院の監査は、透明性のある方法で、多様な分野の専門家の意見を聞いて、より正確にわかるようにしてくれなければならない。この件については、科学的真実は存在しないであろうが、推測といくつかのデータの有効性を認めなければならない。

実行するにあたり、制度上の問題が存在する。今日、原発施設に使われる税金は、約4億ユーロだ。我々の例では、共同資金を運営企業の会計に残らないようにするためには、年間7億ユーロを使わなければならない。建造物1つにつき、事故が起きなければ多すぎる金額で、重大な事故の場合は十分とはいえない。それは国家の予算になるだろう。したがって、共同資金にたくわえを別にとっておくべきか、一般予算に残すべきか? たぶん、共同資金の予算に残すほうが論理的だろう。そこで2つの問いが出てくる。運営企業が民間であっても利益はふさわしくなく、原発の潜在的な損失は必然的に社会化されていると言うことではないだろうか? したがって、原発は、公共組織に属しているに過ぎないと理解できないだろうか?


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by k_nikoniko | 2011-07-23 00:57 | 原発・核

アレバの最高責任者解任を巡る陰謀

フランスのメディアパルトが2011年6月17日、アレバのアンヌ・ロヴェルジョン最高責任者解任に関する記事を掲載しました。
アンヌ・ロヴェルジョン最高責任者の解任は、「サルコジ大統領とフランス電力公社のアンリ・プログリオ社長、大統領官邸のあらゆるネットワークによる執拗な襲撃」「巨大グループのトップに女性が就任して成功することを一度たりとも認めない男たちの絶え間ない陰謀」「政治ゲームのスケープゴート」と表現しています。

記事は次のような内容(全訳ではありません)。

彼女の更迭は、木曜日の夜、大統領官邸で決定した。その少し前には逆襲があった。次期社長として出席していたリュック・ウルセルとアンヌ・ロヴェルジョン本人以外の執行委員会の全委員は、「将来のアレバを率いる能力と資質を有した社内唯一の人物」であるアンヌ・ロヴェルジョン候補を支持した。ヨーロッパ・グループ委員会は、この「ヴィジョンを持った女性」の継続を求めた。左派だけでなく右派の議員20人ほどが、「原子力社会で世界第一位のグループを永続し維持する」こと信じ、彼女の更新を要求する署名をはじめた。

解任決定後、彼女の支持者がいなくなったわけではない。社会党の大統領選第一候補フランソワ・オランドは、「アレバ・グループを分裂させるために、何ヶ月もの間仕組まれた不穏な動き」と密告。セゴレーヌ・ロワイヤルは、「素晴らしい女性」の辞任を残念がり、「解任は彼女の独立精神に起因していない」ことを望んだ。ストロスカーン派のジャン=マリー・ルガンは、「ニコラ・サルコジは、自分にはすべてが許される」と思いはじめている、とドミニク・ストロスカーンの事件に結びつけて批判した。パリ市市議は、アンヌ・ロヴェルジョンとニコラ・サルコジの対立関係を強調し、「アレバでの建設大手企業ブイグの影響力を強まることと、民営企業の乗っ取りを拒否した」ため、その抵抗に対する制裁としてこの更迭されたとみている。

確かに、アレバの一件を政治から解釈する必要がある。ニコラ・サルコジは就任当初から、核拡散禁止条約すべてを無視し、原子力外交を確立し、アレバを牛耳りたいと考えていた。福島第一原発事故は、彼のヴィジョンを何ひとつ変えなかった。同じく、フランス電力公社のアンリ・プログリオ社長は、アレバの創設以来のフランス電力公社とアレバとの間の対立にかかわり、フランスの全企業に自社グループの絶対的権威を確立したいと考え、説得のためにあらゆるネットワークを操った。

彼女が社長就任を続行すると思われていたが、予定されていた手続きをすべて無視し、次期社長が舞台裏で示された。それまで関心をもたれていなかったリュック・ウルセルが選択されたのだ。

これは数年前からの対立を一時的に結論づけるようにみえた。アレバの事件は、政治闘争以上に、ビジネス界の習性、一般的利益より私利私欲に走る経営陣を戯画化している。

1960年代の加圧水型原子炉をめぐる対立から、1980年代のクルーゾ・ロワール社の危機とフラマトン社の結末、そこにはパリバの操作があり、1970年代末にフランスの手に原子力企業を取り戻そうとするアンパン男爵の買収もあった。フランス原子力の歴史は、こうした公然の敵対闘争、組織網戦争によって成長していった。アレバの最高責任者に就任したアンヌ・ロヴェルジョンは、このシステムをうまく刺激した。

10年もの間、アレバ社長は「戦い」の社長だった。全員対ひとり。フランス原子力庁の技術者の一部は、原子力発展のヴィジョンに鈍く、敵意に満ちているとみなされ、対立する。原子力機器のライバル企業アルストム、それからアレバに目をつけたブイグ、それからアレバの第一顧客のフランス電力公社との戦いがあった。大手銀行グループBNPパリバとその会長のミッシェル・ペブローとの対立は言うまでもない。欧州加圧型原子炉建設に反対する原子力安全局と対立し、欧州加圧型原子炉の工事の3年以上の遅れに抗議するフィンランドの電力会社TVOとも対立。これら対立のすべては、大統領官邸や経済省との延々と続く不仲が根本原因にあった。

政治的に抜け目のないアンヌ・ロヴェルジョンは、対立のたびに被害者ぶってきた。よく知られた才能で、彼女は身を守るために、非常に多くの支援者を結集させた。小賢しい方法で救いの手を求め、出身でもある探鉱業界団体をはじめ、あらゆるネットワークを活用してきた。国際的な最高決定機関を前でも、原子力の将来と、フランスの原子力企業の素晴らしさを終始一貫して守ってきた唯一の人物ではなかったか?

彼女は守りを固めるために、ビジネス界、政治界の反感をうまくさばいた。GDFスエズの最高責任者でフランス電力公社の永遠の競争相手であるジェラール・ムストラレが、彼女の最も忠実な擁護者のひとりになった。左派は支援を惜しまなかった。

あらゆる対立や闘争のおかげで、経営の実態を包み隠すことができた。欧州加圧型原子炉は、産業および商業の失敗といえる。契約成立から8年経つにもかかわらず、フィンランドの原子炉はいまだに完成していない。工事費は30億ユーロを越し、進行すればさらに増加するだろう。中国の2つの原子炉の建設の遅れが長引びいており、フランス電力公社のフラマンヴィルの工事も最低で3年の遅れを示唆しはじめた。

鉱山はどうか? ニジェールのウラン鉱山の運営は、つねに最悪の環境におかれている。この分野の開発は、割の合わない価格で行われている。ウラミン買収は、ウラン株が歴史的に高騰した週に実現された。ニッケルの子会社エラメットはどうなっているか? さほど関心を持ったことがないようだ。

困難に直面するたびに、アンヌ・ロヴェルジョンは政治を批判したり、新しい論争をはじめたりして、責任をかわしてきた。こうした経営の実態は、公権力の共犯もあり、厳重に押し隠されてきた。

2010年12月、アレバは業績悪化を回避するために9億ユーロの増資を急遽しなければならなかった。国はアレバではなく、クウェートの投資ファンド側に3億ユーロを渡した。経済的に締めつけのなか、アレバがどのように道を見出したのか? そして、年末の緊急増資をどうしてできたのか? ミステリーである。

クウェートの投資ファンドは、アレバの上場を望む条件を明示した。アレバは6月末に株式上場の手はずを整えるはずである。

退任はするが、アンヌ・ロヴェルジョンはアレバに数多くの闇を残していく。福島第一原発の事故以来、原子力産業の未来は非常に危うくなり、欧州加圧型原子炉もそこに含まれている。アンヌ・ロヴェルジョンが欧州加圧型原子炉についてどんなに確信していても、この第3世代原子炉は、あのような事故が起こらなくても、すでに痛手を負っている。4つの工事が進行途中で、アレバは新しい買い手を見出すことができないかもしれない。このようなリスクには誰もお金を払いたくないのだ。

同時にアレバは、原子力施設の解体や核廃棄物の管理に対する解決策をほとんど進めていない。アレバによる唯一の解決策は、永遠に400~500m地下に埋めることだけである。

今現在、政府は、戦略的なラインを何も固めていない。すべてが以前と同じようにつづくと思わせてフェイントをかけている。

欧州加圧型原子炉工事の損失、言い値どおりの買入、経営不振。アンヌ・ロヴェルジョンは50億ユーロと見積もられるツケを残すことになる。


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by k_nikoniko | 2011-07-22 21:05 | 原発・核

アレバのウラン探鉱企業買収にからむ疑惑

フランスのネットマガジンMediapartが2011年6月22日、フランスの原子力企業アレバのウラン探鉱企業ウラミン買収にからむ疑惑について報じました。

アレバでは、アンヌ・ローヴェルジョン最高責任者の退任発表以来、“沈黙の掟”が突然破れ、グループ内部では、彼女側の社員と社長交代を望む社員たちが互いにけなしあい、社外へ秘密を漏らす人も出てきたそうです。
これまで厳重に隠されていた資料が表面化し、財政問題も浮上しています。そのなかには、カナダのウラン探鉱企業グループだったウラミンの2007年の買収も含まれているそうです。

記事は次のような内容(全訳ではありません)。

6月14日、財政委員会のヒヤリングが行われ、アンヌ・ローヴェルジョンは長時間にわたって資料について問われた。しかし、回答は全く納得のいくものではなく、この資料を明らかにするための議会調査委員会を立ち上げるにいたった。

水曜日の朝、国民議会財政委員会の委員たちは、エネルギー予算専門委員の社会党議員と、国家財政参加専門委員の国民運動連合議員に、フランス電力公社(EDF)とアレバの財政状態に関する特別報告書を作成する任務を依頼した。
「2大企業がお互いに交わした契約内容すべてを問題視しなければならない。法外な価格での買収にまでさかのぼらなければならない。その一環として、ウラミンの買収についてももっと知る必要がある」と委員は説明した。

しかしなぜ、今になって、カナダのウラン企業の買収にそれほど関心が向くのだろうか。当時、25億ドル(18億ユーロ)の買収はほとんど問題にされなかった。アレバは、ウラン供給を確実にするために、戦略的な活動を展開した。

しかし、買収以降、約束通りには開発されていないようだ。ナミビア、南アフリカ、東アフリカのウラミン鉱山では、2008年に開発着手のはずが、何も実際にははじまっていない。

アンヌ・ローヴェルジョンは確信している口調で、財政委員会でこの遅れを正当化した。「ウランの探知から採掘開始には平均15年はかかる。我々の必要に応じた速度で、運営と開発を行っている。開発を急いげば、価格低下を招く危険がある」

アレバの最高責任者は、グループが直面していると思われる技術的および産業的困難ついて述べるのを避けようとしていた。ウラミンから買収した鉱脈は、鉱石の含有量が非常に少ない。採算の合う条件で運営するのはとても難しい。中国の電気事業者、中国広東核電集団(China Guangdong Nuclear Power Corporation)は、ウラミンの株の49%を所有するはずだったが、断念した。その変わり、20年間にわたって生産量の60%を手に入れる契約をした。

買収当時から、アレバは、状況はさほど単純ではないと暗黙の了解で知っていた。年次報告書では、環境に配慮し、経済的な条件で生産する目的で、開発のための新しい技術と方法を研究するよう指定している。アレバは何もしなかったのだろうか? 鉱山の運営は、本来、危険をともなう。探鉱企業グループはどこも、見込みどおりではない鉱脈から利益を得ること、採掘しうるのが難しいとわかること、支持者に説明することが、どんなに不快かを知っている。いまだ開発されたことがなく、鉱石の含有量が少ないとわかっている鉱脈の採掘権だけを手に入れるために、アレバが25億ドル支払ったのを正当化できるだろうか? これが、多くのオブザーバーと、いまでは議員も、執拗に疑問視している点である。

6月14日の質疑に対し、アンヌ・ローヴェルジョンは、「我々は、ウラミン社を25億ドル、つまり18億ユーロで購入した。指摘に反して、プレミアムの総額は全く模範的なものである。ロスチャイルド銀行が操作しているのは確かだ」

2006年終わりから2007年はじめにかけて、ウランは途方もない投機対象となった。原発再建にかかわるあらゆる業者が、非常に有望と予測されるこの分野に狙いを定めたがっていた。投機バブルが見る見るうちに形作られていった。半年も経たずに、ウラン相場は半キログラム25ドルから130ドルへと上昇した。探鉱グループは、大規模な株式公開買付で鉱脈の争奪戦を繰り広げた。ウラン生産企業の株は上昇した。ウラミン株は他のもの以上に過熱した。

2005年に創設されたウラミンは、この分野では小粒でしかなかった。これまで一度も開発されたことのないアフリカの鉱脈をいくつか有しているだけだった。しかし、経営陣は、その存在を示すのに躍起で、2007年2月に、戦略の見直と売却の可能性を示唆した。

ウランを巡る過熱の最中だっただけに、あらゆる方面から関心が集まった。ウラミンの責任者は、欲望に火を注ぐことに絶えず心を配った。

証券取引や探鉱に関するサイトでは、株にまつわる数え切れないほどのウワサが飛び交い、買い手の候補者たちは熱を帯びた。株価は4ヶ月足らずで2.8から6.8カナダドルへと上昇。ウォール・ストリート・ジャーナルが、中国の公益グループ、中国核工業公司(China National Nuclear Corporation)の買収の可能性を報じ、一時7カナダドルを越えた。

6月11日、ウラミン経営陣は、名前は明かさなかったが、有望な買い手との例外的な交渉をしている情報を示唆した。その日のうちに、相場は上昇。ウラミンの資本は19億カナダドルを超えた。2006年終わりに230億カナダドルの損失を公表し、まだ開発されていない鉱脈の採掘権のみしかなかったグループにとっては喜ばしい結果だった。

翌日、アレバがウラミン株の5.5%をすでに購入し、この企業の関心を引いていることを発表した。買収の合意は、その数日後に発表された。アレバは、ウラミンだけでなく、すべてのウラン相場が歴史的な高騰をみせた週に買収した。買収額は総計25億ドルだった。

合意が成立したとき、ウラミン経営陣は、「これは夢のような話である。このような手順はまったく想像していなかった。我々は4億ドルからスタートし、25億ドルで終わった」と語った。3週間後、サブプライムの危機が発生し、ウランはじわじわと値を下げた。

数年後に取引銀行は、理解しがたい買収だと告白。「時間の余裕があったはずなのに、なぜアレバは投機バブルの最中に、株価が上がっている探鉱企業を買い急いだのだろうか。どこに利益があったのか?」

この問題に関するウワサと論争を断ち切るために、アレバの監査審議会は2010年夏、国の合意を得て、投資委員会委員長のルネ・リコルに会計審査を依頼した。決算によると、アレバは、現アレバ・リソース・南アフリカのウラミン株になんと4億2600万ユーロを費やしている。それでいて、契約時の約束は全く守られていない。


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by k_nikoniko | 2011-07-22 14:22 | 原発・核

フランスの原発の被ばく事故申請のあいまいさ

フランスのメディアパルトが2011年6月15日、原発事故で労災申請をしなかった企業の記事を掲載しました。

2007年11月、53歳の溶接工ドミニク・サンソンは、フランス電力公社の巨大原発施設パリュエル原発の配管蛇口を交換していたときに被ばく。しかし、その労災申請はされなかった。パリュエル原発を管轄するオート=ノルマンディー地方労働監督が、事業主に対し、労災申請を怠ったとして告訴した。事業主は、GDFスエズ(フランスガス公社とスエズが合併)の子会社で、下請け会社の工業保守管理専門企業アンデル(Endel)。
公判は6月16日(木)、ローアンの司法裁判所で開廷。下請けの健康衛生管理の欠如が問われる訴訟は、フランスの全原発にかかわる問題として注目されている。

フランスも日本も、労働者をとりまく状況は同じです。

記事はこのような内容(全訳ではありません)。

2007年11月6日、アンデルの社員サンソン氏は、パリュエル原発の原子炉建屋で配管の蛇口を溶接していた。放射線粒子吸収装置で放射線防護をしていたが、突然、コンセントが抜けて電源が切れた。再びコンセントを入れたが、数秒間の間にドミニク・サンソンは被ばくした。原発施設内でコンセントの場所を見つけるのは容易ではなかったという。「原子炉建屋内は迷路のようで、人であふれ、誰が何をやっているかを見たりしない」と彼は説明する。
施設から出ようと最初の測定器を通ったとき、放射性物質が付着していることを示すアラームが鳴った。彼は外に出ることができず、そこで服を脱ぎ、顔や髪の毛についた放射性物質の存在を調べる2つ目の測定器を通った。彼は看護師に連れていかれ、洗剤とシャンプーで除染。しかし、ボディカウンターで調べたところ、器官から放射性同位元素のコバルト58と60が検知された、と言われた。

一緒に作業していた配管工の同僚も被ばくした。「被ばくはたいしたことはない、限度量を下回っている、と言われたが、実際には安心できなかった。タバコを吸わない同僚は肺ガンを発症した」 ローアンの司法裁判所で、彼は説明した。

二人の社員が被ばくしたが、48時間たっても、アンデルは社会保険を受けるための労災申請をしなかった。激怒したドミニク・サンソンは個人的に労働監督官への告発に踏み切った。2009年10月、アンデルは申請を怠ったとして、135ユーロの罰金を命じられたが、この罰金命令を拒否したため、ローアンの司法裁判所で再び訴訟となった。

メディアパールが広報責任者と連絡とったところ、アンデル側としては、「事故のときに肉体的被害がなければ、労災とはいえない」と言う。弁解として、ドミニク・サンソンの上司でアンデルの支店パトリック・ソーサイ所長は、「今日まで、この種の事故は労災申請の対象になったことがない」と説明した。

検察官は、「この事故が申請されないのは常識がはずれている。これは危険な状況での本質的な事故である」と言う。判決は次の9月29日に言い渡される。

被ばくは特に、原発施設内で起きる。労働組合はたびたび、フランスの大部分の原発を運営しているフランス電力公社の経営陣に被ばくについて告発していた。メディアパールが入手した2008年の内部資料によると、フランス電力公社は原発の幹部に、外部被ばくを医療保険の事故として申請しないよう求めている。内部被ばくの疑いがある場合や、被ばく量が基準以下である外部被ばくも同様だ。

放射性物質が付着した汚染は、放射線にさらされる被ばくとは区別される。フランス電力公社では、内部被ばくと推定されたものだけに治療がほどこされる。同じく、基準値を超えた線量による外部被ばくは、「たいしたことのない事故」として申請されなければならない。労災申請は単に、原発で「医師か外部の病院で治療を受けたか」にある。
フランス電力公社の資料では、汚染の存在や外部被ばくには言及しておらず、それらは突発しないかのようである。

しかし、原発の下請けに詳しい社会学者のアニー・テボー=モニィによると、「外部および内部被ばくは、労災として考えなければならない。それは肉体的被害である。放射性物質は体内に入り、細胞にまでいたる。この物体が変質し、発がん性物質とともに器官に沈着する」と言う。低量被ばくであっても、ガンや心臓血管の病気、生殖器の損傷などの危険性を引き起こす。研究者たちは長年警告しており、最近でも、ルモンド紙に掲載された議論で、原子力エネルギーを有する国では「放射線汚染が絶え間なく広がって」おり、「放射線汚染は油断できない」とある。

メディアパールが公開したフランス電力公社の内部資料で明らかになった事実は、原子炉と核燃料を製造しているアレバとの地位の「分かち合い」を重視している点である。この2つのフランスの巨大原子力企業は、被ばく問題について互いに相談しあっているのだ。

特筆すべきは、金属鉱業団体との情報交換である。経営者たちの集まりである金属鉱業団体は、アスペクトの騒動でも当事者のひとつだった。危険を知りながらも、何10年もの間、社員の身にアスベストをさらさせたままにしていたのである。


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by k_nikoniko | 2011-07-21 14:54 | 原発・核

イギリス政府が原子力企業と企てる「原発は安全」PR作戦

イギリス政府が、フランス電力公社、アレバ、ウエスチングハウスら原子力企業に働きかけ、「原発の安全性」を大衆にアピールするPR作戦を立てていたことを、ガーディアン紙が6月30日に暴露しました。記事の一部訳はこちら

原発推進は国際的な組織ぐるみです。
東京電力はじめ日本の推進派が福島第一原発事故後も強気でいられるのは、列国の後ろ盾と多国籍企業の支援があるからかもしれません。フランス電力公社の代表は、日本の原子力企業で働く同僚にエールを送っています。

「原発がなくなると電力が不足する」が常套句になっていますが、米国ウエスチングハウスの言い訳には唖然とします。
テレビに出演し、原子炉の安全について念を押され、こう答えたのです。

リスクのない人生などありません。車に乗ろうとして歩いているとき、ゴルフをしているとき、ガーデニングをしているときにもリスクはあります。エネルギーを生産するとき、原発はいまのところ他の方法よりも安全です。そして、我々はこれを趣味でやっているのではないことを忘れないでください。電気は、貧困や飢餓を助けるために重要です。
30 億以上の人々が、1日2ドル以下で生活しています。彼らには、電気と水が不足しているのです。

大きな力に慄きますが、それほど悲観的にもなっていません。
世界中で脱原発のうねりが起こっているからです。
多国籍原子力企業が日本にエール(お金やモノも、たぶん)を送ったように、世界中の脱原発派の人たちも多大な日本を支援してくれています。

フランスのネットメディアでは連日、原発事故や原発作業員の告発を報道しています。
イギリスの調査会社Ipsos-Moriの調査では、62%の人が原子力エネルギーに反対で、26%の人が福島第一原発事故で意見を変えたとの結果でした。

「ここでつぶれてもらっては困る」と、世界中の原子力関連業界の焦りがみてとれます。
権力者にお金やモノでは勝てないかもしれませんが、連帯した人々の力では負けない。
そう信じたいです。

イギリス政府と原子力企業とのメールのやりとりのうち、気になったのをピックアップしました。

1960年代に建設された原子炉(訳注:福島原発の原子炉のこと)でさえ安全であり、最新の第3世代原子炉も安全であるという、ポジティブなメッセージを伝えなければならない。<3月13日、ビジネス・イノベーション・職業技能省より>

日本の1960年代の技術でさえ、原子炉の安全システムが機能し、放射能漏れは長期的には全く深刻な結果をもたらさないと際立たせるのが重要だ。漏れた放射能は制御されたことを強調しなければならない。<3月13日、ビジネス・イノベーション・職業技能省より>

添付資料―君だけに―は最新バージョンだ。(略)このバージョンには、3号機について述べていない。(略)第3号機はMOX燃料の原子炉だと気づいているだろうか(2010年秋にMOX燃料をスタートした)。もし知らないのであれば、これについてもっと情報を提供する。<3月13日、ウエスチングハウスより>

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by k_nikoniko | 2011-07-20 21:18 | 原発・核

イギリス政府と原子力企業の共謀

ガーディアン紙の電子版は6月30日、イギリス政府関係者と原子力企業とのメールのやりとりを暴露した。
ガーディアン紙が入手した内部メールはネットで公開されている。

日本をおそった地震と津波の2日後に、イギリス政府は原子力企業に「原発の安全性」をアピールするPR作戦の協力を迫るメールを送っていた。

イギリスの経済省とエネルギー省が、フランス電力公社(EDF)、アレバ、ウエスチングハウスといった多国籍原子力企業と秘密裏に連絡をとっていたのがわかる。政府のこうした働きかけは、福島第一原発によってイギリスでの新世代原子炉建設計画が延期されるのを危惧したため。

記事は次のような内容(全訳ではありません)。

「この事故は原子力産業を世界規模で後退させる可能性がある」とビジネス・イノベーション・職業技能省の役人が書いている。「反原発を唱える奴らが優勢にならないようにしなければならない。原発の安全性を示す必要がある」
政府関係者は、この事故で原発推進支援の世論が衰えるのを防ぐことが重要だと強調した。

下院の環境監査委員会員で保守党のザック・ゴールドスミス議員は、メールで暴露された政府と原子力企業との協力関係を非難した。
「政府は企業のPR活動をすべきではなく、省庁が福島原発事故の影響を軽視していたとしたら、ひどい話だ」と言った。

NGOグリーンピースのルイーズ・ハッチンス代表は、「スキャンダラスな共犯」とみなし、「これは政府の原発に盲目的な執着を強調しており、政府も企業も信用されないだろう」と述べた。

世論調査によると、イギリスや世界中で、原発推進の声は弱まっている。ドイツ、イタリア、スイス、タイ、マレーシアは、原発事故後に原発建設計画をキャンセルした。

ビジネス省は、福島原発事故の2日後に、原子力企業と原子力産業協会にメールし、事故の結果がまだ明らかにされず、2度の水素爆発もまだ起きていない時期に、テレビの映像ほど悪い状態ではないと書いている。
「放射能漏れは制御できている。原子炉は守られている」

役人は、「企業がコメントを送れば、それらを大臣や政府の発言に組み込むことができる」と提案。「メディアや国民へ伝えるメッセージに、我々は同一の素材を活用する必要がある」

「ヨーロッパ中の反原発賛成者は、この事故をチェルノブイリにすりかえてすぐに動きだすだろう。チェルノブイリとこの事故を比較するあらゆる話を、つぶさなければならない」

エネルギー・気候変動省は、福島の事故から1週間で80以上のメールを発信している。

4月7日、原子力開発局は原子力企業を招いた。その狙いは、「原発施設の安全性への自信を持ちつづけていることを、イギリス国民に確信させるための広報戦略を議論する」ため。

政府の安全監視機関である原子力施設検査局が発信したメールもあり、それによって、原発の新計画への福島原発事故の影響に関する4月5日の発表は、この1週間前に開かれた会議で原子力企業の代表者に個人的に明らかにされていたことが暴露された。前査察官のひとりによると、馴れ合いの度合いは「まったく衝撃的」だという。

政府の前環境アドバイザーで、ロンドンのインペリアル・カレッジの非常勤教師のトム・バークは、イギリス政府は日本の過ちを繰り返すだろうと警告した。「政府は企業に近寄りすぎている。問題を明らかにして取り組むというよりむしろ、問題を隠蔽している」

イギリス政府は先週、8つの新規原発施設建設計画を決めた。

***********

フランスのネットマガジンRue 89も、「アレバとフランス電力公社(EDF)が日本の原発事故の危険性を過小評価し、PRキャンペーンに加担した」と、この件に関する記事を掲載。

以下、記事の内容(全訳ではありません)。

日本で地震と津波が発生して48時間しかたっていない3月13日の日付のあるメールに、唖然とさせられる。ビジネス省の役人は、多国籍原子力企業に、作戦計画を提示している。
「我々は行動をともに、メッセージを発信しなければならない」

福島第一原発事故の原子炉の中で何が起こっているのか全く闇に包まれ、2つの水素爆発も起きていないときに、熱心な役人の確信はまったく揺らいでいない。
「原子炉の中で起こっていることは、原子炉外部にはおよんでいない。放射線漏れは制御されている。原子炉は守られている」
「人生には危険がつきものである」

イギリス政府の中心にいる卓越した原子力の専門家の意図は、このうえなく無責任で、最悪な犯罪のようにみえる。福島第一原発事故で明らかになった欠陥を心配するより、儲かる産業の利益を守りたいようだ。
作戦として執着しているのは、核の敵の口封じである。

イギリスの19の原子炉のうち9つを運営しているフランス電力公社の代表は、新規に建設する使用済み核燃料貯蔵施設への認可を大臣たちが延期しないよう、政府に伝えている。

ガーディアン紙の記事は、8つの原発の新規建設に政府がゴーサインを出した数日後に掲載された。

現在、多くの議員が、エネルギー・気候変動省のクリス・ヒューン大臣の退任を求めている。

福島第一原発事故後、国際的な世論は、原発に関して次第に大きくなっている。Ipsos-Moriが24カ国に行った調査では、62%の人が原子力エネルギーに反対する。25%の人が、日本での惨事が理由で意見を変えたと言っている。

ドイツ、スイス、イタリア、タイが脱原発を開始した。これに逆行し、イギリスは原子力売買のパラダイスになっている。アレバは、自社のEPR(欧州型加圧水型炉)を売りつけたがっている。

イギリスでは20%が原子力エネルギーだ。2006年にトニー・ブレア前首相が原発の道を開き、保守党と自由党の連立政権は、2倍にする野心を抱いている。


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by k_nikoniko | 2011-07-20 19:03 | 原発・核

「100%安全」と豪語する原子力企業

原子力企業ウエスチングハウス・インターナショナルのヨーロッパ・中東・アフリカ部門アンダース・ジャクソン社長が、3月17日にイギリスのTVに出演し、自社の原発の安全性について語っています。
番組の会話は、イギリスのガーディアン紙が公表したメールの63ページにあります。
このメールは、イギリス政府と原子力企業との間で交わされたもの。

以下、翻訳です。

最初に、今夜は番組に出演いただき、感謝を述べさせていただきます。イギリスに原発を建設したいと考えている企業はたくさんありますが、インタビューに応える企業は多くありません。フランス電力公社(EDF)、E.On、Centrica、Scottish and Southernはすべて、我々のインタビューの申し出を断りました。ですから、あなたが今夜出演してくださったのはとてもうれしいことです。

世界中の原子炉の半分は、貴社のデザイン、もしくはそれらの一部をデザインされています。日本で何が起こっているか教えてください。原子炉は安全なのか、ご存知ですか?

出演させていただき、ありがとうございます。まず、世界中の原子力企業にとって、安全性は第一の優先課題です。ウエスティングハウスにとっても、そうでしたし、これからもそうです。わが社の原子炉はすべて、建設時に安全であり、今日も安全で、明日もまた安全です。建設した時点から、安全システムは構造保全の向上、新しい機器、新しい安全システムといったように追加されています。ですから、今日の原子力施設に自信を持っています。

ヨーロッパでは、原子炉の「ストレステスト」が実施されますが、これに合格するという自信はありますか?

もちろん、ストレステストの経過を見ていく必要があります。しかし、わが社の施設、競合する他社の施設もまた、安全性は確かです。ヨーロッパには信頼できる優秀な査察官が存在しています。わが社が原子炉を建設するとき、そしてその後も、査察官は原発施設の状況を監視しつづけています。嵐、洪水、地震といった深刻な状態や、ヨーロッパ中のさまざまな地域的条件も考慮されています。ですから、原発は安全であり、安全を維持する自信があります。

貴社は福島第一原発の原子炉にはかかわっていませんが、東芝ウエスチングハウスは、地震の直後に日本の2つの施設―核燃料施設―を停止しました。これらについての最新情報を教えてください。運転を再開しましたか?

運転再開に向けて取り組んでいます。しかし、もちろん、我々はまず、地震によるあらゆる可能性を調査しなければなりません。これらの施設を停止したのは、津波の影響ではなく、大規模な地震が原因です。我々は、運転再開の前にすべてのシステムをチェックしたいと考えています。先ほども申したように、安全が我々の一番の優先だからです。

世界中のほかの原子炉すべての安全をチェックするのでしょうか?

わが社は運営企業ではありませんが、運営企業が支援を望むのであれば、サポートする準備はできています。わが社の製品やサービスを利用しているすべての顧客に対し、あらゆる安全システムのチェックに参加するでしょう。

あなたは自社の技術、それが既存の技術であっても、その安全性に自信をお持ちです。しかし、ドイツは脱原発の動きを速めたいようですし、中国は新規の原発建設を保留しました。人々は、原発の安全をはっきりと確信していません。

非常に早すぎる決断、と私は思います。今、最も重要なことは、じっくり慎重に、日本の原発事故の原因が何かを見定めることにあります。引き金となったのは、震度9の地震と、それに続く10mの津波であり、そうした地震と津波はヨーロッパでは起こりません。

どんなにあなたがリスクを軽くみなしても、原子炉がフェールセーフ(誤操作や誤動作で障害が発生した場合は常に安全側に制御すること)のようなものではないのは明らかです。しかし、貴社が注意を払っていても、人的ミスや自然災害で、事故はいつも起こります。原発の場合、それは大惨事になります。

それがわが社の施設やヨーロッパの施設で起きるということには同意しません。我々は、事故を防ぐために、莫大な量の安全システムと多様性を備えてデザインしています。それはまた、想定外のことが起きたとしても耐えうる安全システムでもあります。我々はいまでさえ、大変自信を持っています。


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by k_nikoniko | 2011-07-20 13:20 | 原発・核