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おしゃべりな毎日

フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2023 Kayoko Kimura   

フランス人みたい、は侮辱なのです

「移民と現代フランス」(ミュリエル・ジョリヴェ著 集英社新書)を読んでいたら、2歳のときからフランスに住む20歳のコートジボワール出身黒人が、こんなことを語っていました。
「二つの違った社会に足を突っ込んでいると、あるパラドックスに直面しなきゃいけなくて、それがかなり大変だね。フランスにいるとフランス人らしくなく、コートジボワールに行くとフランス人すぎるって言われる。……略…… コートジボワールで一番びっくりするのは、『あんたはフランス人すぎてよくわからない』とか、『あんたはすっかりすっかり白人になったね』と言われるときなんだ。一部は当たっているかもしれないよ。僕の習慣は彼らとは全く違うから。でも、そういう類の言葉がどんなに人を傷つけるか、皆ちっともわかってない」

この話は、そっくりそのまま日本にも当てはまります。海外で生活した日本人が帰国すると、よくこのようなことを言われます。どうしてでしょうね?
パリ在住の社会心理学者・小坂井敏晶氏が、「『日本人ばなれしている』と言われて喜ぶのは日本人だけ」と述べていたそうですが、「外国人みたい」を誉め言葉にとらえながらも、一方では「日本人ばなれしている」と皮肉として使ったりしますよね。
多くの日本人が海外旅行や留学をするのに、いまひとつ国際化しないのは、このような歪みも関係しているような気がしてなりません。
by k_nikoniko | 2006-01-17 23:58 | ひとりごと