人気ブログランキング | 話題のタグを見る

おしゃべりな毎日

フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2023 Kayoko Kimura   

外国に関するリアリティの欠如

高校で開催されたイラク人医師の講演を見学した。
国際人を育成するクラスの授業で、会話はすべて英語。
難度が高く、私が高校生のときには、このレベルの英語は理解できなかったと思う。
外国人の先生が2、3人おり、パソコンを使いこなすなど、高校の授業は進歩していた。
30年近くたっているのだから、当たり前だけど。
ただ、生徒たちの反応はほとんど変わっていなかった。
「私の話を聞いて、どんな印象を持ちましたか?」と質問されても、誰も答えない。
「日本語でもいいですよ、先生が通訳してくれるはずです」と促しても、誰も何も言わない。
少し残念。
もうひとつ感じたのは、生徒たちには、「今目の前にいる人物が戦地からやって来た」というリアリティが欠如している気がした。
フラフラっと日本に稼ぎに来た英米人(英語教育を使命に日本に来る人は稀だと思う)と、日々身の危険に脅かされている国から来たイラク人を、同類の “外国人”としてとらえているように見受けられた。
差別しないで平等に接している、といえばそうともいえる。
日本では外国についてイメージ先行になりがちで、それぞれの国の深刻さが実感できず、どんな外国人とも軽~くつきあう。と考えるのは、考えすぎか。
私など、イラク人と会う機会はまたとないかも、とつい真剣なまなざしになってしまうのだが、それはそれで鬱陶しいと思われている可能性もある。
でも、これまで多くの外国人に会ったけれど、再会するほうが珍しく、二度と会えない経験を何度もしたので、出会いを大切にしようと必死になってしまうのだ。
高校生に限らず、日本人の外国人に対する軽~いノリは、無邪気ではあるけれど、感性に欠けている風でもある。
リアリティと感受性のなさから、外国人にときどきかなり失礼な質問をしてしまうこともある。
英語がペラペラになっても、感性が磨かれるわけではなく、日本語で感性豊かな人間に育てるべきだと思った。
by k_nikoniko | 2006-11-25 00:31 | ひとりごと