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おしゃべりな毎日

フリーライター木村嘉代子のブログです。日々感じたことを綴っています。Copyright(C)2005-2023 Kayoko Kimura   

またまたヴィクトリア・ベッカムと仲間たち

ロンドンに住む友人から面白いメールが届きました。
つい最近のBBCのニュースで、「スパイスガールズの最盛期から10年がたち、ひとりを除いて忘れられてしまった。今でも話題になる彼女も、有名人の妻だからこそで……」と伝えたそうです。
2006年6月24日のデイリー・テレグラフ紙で、似たようなことを女性ジャーナリストが書いています。ケイト・モスと比較している点がユニークです。

W杯のワグたち(イングランド代表選手の妻や恋人)は、イングランドの応援でどんちゃん騒ぎをし、テーブルの上で踊り、メディアをにぎわせている。エリクソン監督の恋人ナンシーが女性たちを招待した木曜日のレポートには驚かされる。「シャンペンを19本飲んだ」「タバコを吸い続け、バジルのアイスクリームを添えたパンナコッタをむさぼり食べた」「トイレを探してライムの木の鉢植えに足を踏み入れた人がいる」「“ネヴィル・ネヴィル、歌ってよ”と彼女たちは叫び、ネヴィルは国歌を歌った」 ネヴィル・ネヴィルとはゲーリー・ネヴィルの父親なので、厳密に言えばワグではないが。彼女たちは朝3時までレストランで騒いでいたという。
私も他の人と同じようにワグに関する記事に目を通してはいるが、彼女たちにはあまり興味がない。その理由のひとつは、彼女たちはポッシュ(スノッブ)という以外何の魅力もないから。彼女たちがやっていることといったら、どんちゃん騒ぎをし、持ち物を自慢し、子供を作ることぐらいだ。彼女たちはとてもブリティッシュらしく、派手でエネルギッシュなだけだ。
ワグの行きつけのレストランで食事をする気もないし、彼女たちなど無視することもできる。なぜなら、私の中には1970年代の古いフェミニスト的見方が根づいていて、“妻や恋人”であるから有名になった女性のすることには興味がないからだ。また、彼女たちの奇妙さに少しゾッとするし、彼女たちのファッションや考え方に一貫性が見えない。
それに引き換え、ケイト・モスの名声には引かれる。彼女は有名人のワグ(妻)ではなく、自分の実力で勝負しているからである。そして、彼女の行動は他の誰のものよりも上をいっている。彼女は世界中で自分のファッションブランドを販売している。香水も出していて、香水も作る他のファッションデザイナーよりも儲けている。ケイト・モスは15歳のときから世界的なモデルとして人気があり、モデルという仕事はあまり稼ぎのいい商売ではないにもかかわらず、自分の雇い主に多額の利益をもたらした。
ここに昨日の新聞に載った彼女の写真がある。音楽祭で階段を下りているときの写真だ。ユニークな赤いブーツ、小さな革のジャケット、変な色のジャンパー、おかしなデニムのショートパンツ、乱れた髪、ずりおちたベルト。驚くようなルックスだ。ワグたちが決してしない格好だろう。私自身も絶対こんな格好をしたいとは思わないが、彼女は20年後も今と同じぐらい素敵だろうと想像できる。中年になったケイト・モスもイカすだろう。
新聞が彼女の写真を掲載したのは、“セルライトを見つけた”からである。美しい女性の写真に目を近づかせて見て、シワやセルライトといった加齢の印を見つけるのは楽しいことのようだ。そういったことは今では全く一般的で、有名人のゴシップ誌は、スターたちの弱点を見せることで稼いでいる。
ケイト・モスは“セルライト”の写真など気にしないだろう。もし気にしたとしても、それを口にすることはないはずだ。先日彼女の初めての伝記が出版されたが、その中にはケイト・モスの発言はひとつも書かれていなかった。彼女はどんなインタビューでも個人的なことは話さない。
ケイト・モスは警察の尋問にも答えなかった。昨年9月にドラッグで捕まり、全世界に衝撃を与えた。彼女を起用していたアパレル企業は、広告を取り下げるべきか悩んだ。たぶんエリクソン監督も、デビット・ベッカムを引っ込めるべきか悩んでいると思う。ケイト・モスと同じ理由、お金の問題で。
ほとんどの企業は彼女の起用をやめた。ただ、それは一時的で、彼女は以前のように仕事を開始している。
彼女が“よいモデル”なのは、“感受性の強い少女”だからではない。私は全くそう思わない。ケイト・モスは履きつぶしたブーツのようにタフなのだ。だから好感が持てるのである。ワグたちよりずっと興味深い。
by k_nikoniko | 2006-07-29 14:32 | イギリス