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フランスにおける離婚した親と子の面会

「親子断絶防止法案」(正式名称「父母の離婚等の後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律案」)の制定に向けて、検討が進められています。
この法案の原案に対して、各方面から懸念の声が上がっています。
昨日、「面会交流等における子どもの安心安全を考える全国ネットワーク」主催の院内集会が開かれ、問題点について専門家の説明がありました。

主に懸念されるのは、DVや児童虐待の親との面会に関する具体的な配慮が示されていない、養育費の支払いについて明確な言及がない、など。

原案で気になったのは、「父母の離婚後における子と父母との継続的な関係の維持」という表現です。
たとえば、フランスも共同親権が原則ですが、「父母が離婚しても、子に対する責任を共同で負う」ことを定義としています。
日本の原案には、「父母の離婚後における子と父母との継続的な関係の維持」という長ったらしい文が15回(原案のうちの1割を占め、その分、内容がない)も出てきますが、「子に対する責任」についてはひと言も書いていません。

「関係の維持」に重きをおき、責任をとらない。
まさに日本社会の象徴のような(封建的な)原案です。

人と人との関係は、たとえ親子であっても、当事者同士が築く、もしくは、壊すのであり、どちらか片方が強制したり、他人が介入したり、ましてや国に押しつけるものではないはずです。

この原案では、「(親子)関係の維持」を強制されているようで、不気味さを感じます。

日本では、心の通った関係をなかなか築けないなかで、さまざまなところで表面的な「関係の維持」を強要され、それが原因で、多くの人が苦しんでいるのではないかと思います。
その結果として、心を病んだり、殺意を抱いたり、自ら命を断ったり、と追い詰められているのではないでしょうか。

話がそれたので、元に戻します。

フランスでは、「子に対する責任」という観点が重視されるため、責任を取れない親は、親権を取り上げられる場合があり、面会も制限されます。

DVやアルコール中毒などの親が子どもと会うときは、面会場で、カウンセラー立ち合いのもと、行われます。

日本の原案には、そうした具体的な内容が入っていません。
ソーシャルワーカーといった専門家も不足しているなかで、子どもが安心安全に守られ、子どもの権利を尊重した面会ができるか、このままでは疑問です。

フランスの女性誌で、面会場での様子を取材した記事が掲載された(1990年代末ごろ)ので、以下に一部紹介します。




離婚した父親と子どもの面会場

隔週土曜日、ナント県の面会場所にやって来る父親は、心から喜んでいるわけではない。
自分の子供に会うことができる唯一の時間は、2時間足らずだからだ。
裁判所の判決だからしかたがない。
暴力や離婚の危険から子どもを守るために、裁判所は、中立の場所で子供と会うように義務づける。
こういった対象となるのは、95%が父親である。
父親が元妻の前で酔っ払ったり、暴力をふるうからだ。
しかし、母親は、元夫が子どもに会う権利を尊重しなければならないというのが、こうした面会の最大の目的である。

父親は、監視された場所でしか子どもに会うことができない。
これは不幸を倍増させる。
子どもを養育する親(ほとんどが母親)はここに呼び出されない。
ここは、父親の恨みと不満がうごめく場所である。
父親は、子どもの前で父親役を演じるために、2週間に一度、数時間だけ呼び出される。
心理カウンセラーたちにに取り囲まれ、訪問は管理れる。
父親側の弁護士はひどい判決を翻らせようと、父親が子どもに優しく接しているのを確認するためにときどき数分間だけここにやって来る。

あらゆる階級の人がここを訪れる。
先週は、レバノンの億万長者が息子と2時間過ごすために訪問した。
来週は、有名な俳優が来ることになっている。

1984年からフランスに存在する面会場所のなかでも、ナント県は少しいいほうだ。
毎週末と水曜日、幼稚園と校庭を開放する。
「校庭の柵までなら、外で遊ぶことができるので、刑務所にいる気分にはならない」とセンターのディレクターは言う。
しかし、2歳の息子の父親は、「外に出て自分の車を息子に見せ、周辺を運転したい」と申し出たが、あっさり拒否された。

ある土曜日、ナント県の面会場所を取材した。
離婚した父親にありがちな、ありふれた惨めな場面に出くわすことができる。
無責任な男は、ときには数年間にわたって、監視されたなかで実の子どもに会うよう強制される。

ラシッドは、失業中の労働者で、ナント県のホームレス者用施設で暮らしている。
彼は、妻をひどくののしりながら、かなり酔っ払って到着した。
会社員の妻は、元夫に月1500Fの食費手当てを請求している。
「オレを侮辱するためだけに、そうするんだ。だって、オレは何も持ってないからさ」とラシッドは言う。
彼は文盲で、はっきりと気持ちを表現するのが苦手だ。
失業してから、ホームレスになった。
一方、彼の元妻は、とてもきれいな身なりをし、3人の子供を連れてやって来た。
長女は、「書店で本を買いに出かけた」から、ここに来ることができなかったという。
スクラブル(文字札で単語作りを競う遊び)の優勝者である長女は、父親の敗者のイメージががまんならない。
そう心理カウンセラーは説明する。
ただひとり、末っ子の娘だけが、父親に優しい。
まだ判断がつかないからだ。
後の二人の娘は、長女と同じように、父親をバカにしている。
その日の午後中、娘たちは、父親には答えられないような質問ばかりしていた。
「ウルグアイの首都は?」といったように。
娘のひとりは、弁護士になるつもりだと言った。

30分後、5歳の娘を連れたヴェロニクが到着した。
いつも同じシナリオである。
この母親は、娘が遠くにいかないように、しっかりしがみついている。
彼女自身、娘と密着しすぎていると思っている。
母親を喜ばすために、娘は父親に対し、大人のような厳しいことを言う。
「パパのプレゼントはダサい。私はパパが好きではない。パパは全てを壊してしまった」
この娘は、心理カウンセラーが、母親にこの言葉を報告するのを期待している。
その日、父親は来なかった。
新たな判決により、父親は6ヶ月間、ここで娘と会い続けなければならなくなった。
父親にとってそれは耐えられないことだ。
3時間待っていたが、小さな娘は、ここでも父親不在となってしまった。

ラフランが最後に立ち去った。
今日は何の失敗もしなかった。
彼は、面会場所のスタッフに教えられたように振る舞った。
この男性は、2年間、子どもと会うことができなかった。
なぜなら、彼がひどく落ち込んでいたからだ。
そんな姿を子どもに見せたくなかったのだ。
今週、彼は二人の息子に、リーボックのスニーカーを持ってきた。
子どもたちは、母親とモメたくないので、父親のプレゼントを故意にセンターへ置き忘れることにした。
次に、父親は、子どもたちの好きなラップ・グループのチケットをあげると申し出た。
「欲しければ、おじいちゃん(父親の親)と行けばいい」とつけ加えた。
ラフランは満足したが、その直後、元妻が子どもの名を変えさせようと奔走していることを、心理カウンセラーから聞かされた。
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by k_nikoniko | 2016-11-16 23:35 | 男と女
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